経気管支肺生検で超硬合金成分を証明した超硬合金肺の2例

背景.超硬合金肺は,超硬合金粉塵,特にコバルトの吸入による職業性肺疾患である.曝露歴と肺組織での超硬合金成分の証明が診断には重要である.症例1.49歳男性.防塵マスクの使用なく超硬合金加工業に従事.咳嗽,発熱,呼吸困難で受診した.胸部単純CTで両肺に多発粒状影と下葉胸膜側優位の囊胞性変化を認めた.経気管支肺生検でコバルトやタングステンなどを検出し,超硬合金肺と診断した.曝露回避とステロイド内服治療で部分的な改善を認めた.症例2.27歳男性.防塵マスクの使用なく超硬合金加工業に従事.咳嗽,呼吸困難で受診した.経気管支肺生検で超硬合金成分を認めた.自然気胸を繰り返していたが,退職後は気胸の再発なく...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 4; pp. 431 - 436
Main Authors 佐藤, 亮太, 田村, 厚久, 木谷, 匡志, 川島, 正裕, 赤川, 志のぶ, 大島, 信治, 渡邊, 梓月香, 松井, 弘稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.07.2021
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.4_431

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Summary:背景.超硬合金肺は,超硬合金粉塵,特にコバルトの吸入による職業性肺疾患である.曝露歴と肺組織での超硬合金成分の証明が診断には重要である.症例1.49歳男性.防塵マスクの使用なく超硬合金加工業に従事.咳嗽,発熱,呼吸困難で受診した.胸部単純CTで両肺に多発粒状影と下葉胸膜側優位の囊胞性変化を認めた.経気管支肺生検でコバルトやタングステンなどを検出し,超硬合金肺と診断した.曝露回避とステロイド内服治療で部分的な改善を認めた.症例2.27歳男性.防塵マスクの使用なく超硬合金加工業に従事.咳嗽,呼吸困難で受診した.経気管支肺生検で超硬合金成分を認めた.自然気胸を繰り返していたが,退職後は気胸の再発なく,肺活量の改善を認めた.結論.経気管支肺生検組織で元素分析を行い,超硬合金成分を同定した2例を経験した.外科的肺生検が難しい低肺機能例などでは,気管支鏡検査での超硬合金成分の証明は診断に有用である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.4_431