気管内ステロイド噴霧により改善した放射線照射後気管・気管支炎の1例

背景.放射線照射後の気管・気管支炎は過去に報告が少なく,その有効な治療法について明らかにされていない.症例.54歳女性,喘鳴,呼吸困難を主訴に当科に紹介された.精査の結果,食道癌縦隔リンパ節転移に伴う高度気管狭窄と診断した.硬性鏡下に気道ステントを留置し,後に両側反回神経麻痺をきたしたため気管切開術を施行した.食道原発巣・縦隔リンパ節に対して放射線照射を行ったところ,気管・気管支炎を発症し,気管・気管支を閉塞させるほどの自己排出不能な粘稠痰を多量に認めた.連日,気管支鏡での吸痰やステントの位置調整,抜去も行ったが改善を認めなかったため,噴霧カテーテルを用いて気管内にプレドニゾロンを噴霧した.連...

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Published in気管支学 Vol. 44; no. 5; pp. 348 - 353
Main Authors 田中, 良太, 橘, 啓盛, 中里, 陽子, 渡部, こずえ, 近藤, 晴彦, 伊藤, 未奈, 平田, 佳史, 渋谷, 幸見, 須田, 一晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.09.2022
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.44.5_348

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Summary:背景.放射線照射後の気管・気管支炎は過去に報告が少なく,その有効な治療法について明らかにされていない.症例.54歳女性,喘鳴,呼吸困難を主訴に当科に紹介された.精査の結果,食道癌縦隔リンパ節転移に伴う高度気管狭窄と診断した.硬性鏡下に気道ステントを留置し,後に両側反回神経麻痺をきたしたため気管切開術を施行した.食道原発巣・縦隔リンパ節に対して放射線照射を行ったところ,気管・気管支炎を発症し,気管・気管支を閉塞させるほどの自己排出不能な粘稠痰を多量に認めた.連日,気管支鏡での吸痰やステントの位置調整,抜去も行ったが改善を認めなかったため,噴霧カテーテルを用いて気管内にプレドニゾロンを噴霧した.連日噴霧を継続した結果,気管・気管支炎は改善した.結論.放射線照射後の気管・気管支炎に対するステロイドの気管内直接噴霧は全身への影響も少なく安全かつ有効な治療法と考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.44.5_348