十二指腸乳頭部処置に起因した穿孔に対し,胆管・膵管ドレナージ術が有効であった症例
胆膵内視鏡関連処置は,消化器内視鏡検査の中で偶発症のリスクが高い処置の一つであり,特に十二指腸乳頭部周囲に生じた穿孔は,胆汁や膵液の直接的な暴露も重なり,管理に難渋することも少なくない.症例は47歳男性.肝胆道系酵素の上昇を伴う総胆管結石に対して,ERCPを行なった.EST施行後,結石除去を試みたが,結石の把持と破砕が困難であり,一期的な処置を断念した.処置から5時間後,腹痛を契機に穿孔の診断に至ったため,緊急でERCPを行い,胆管と膵管へ経鼻ドレナージを挿入した.以降,次第に炎症所見は改善し,処置20日後に退院した.当院では,ESTに伴う穿孔を2例,内視鏡的乳頭部切除術に伴う穿孔を2例経験し...
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          | Published in | 胆道 Vol. 35; no. 5; pp. 744 - 749 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本胆道学会
    
        31.12.2021
     日本胆道学会  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0914-0077 1883-6879  | 
| DOI | 10.11210/tando.35.744 | 
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| Summary: | 胆膵内視鏡関連処置は,消化器内視鏡検査の中で偶発症のリスクが高い処置の一つであり,特に十二指腸乳頭部周囲に生じた穿孔は,胆汁や膵液の直接的な暴露も重なり,管理に難渋することも少なくない.症例は47歳男性.肝胆道系酵素の上昇を伴う総胆管結石に対して,ERCPを行なった.EST施行後,結石除去を試みたが,結石の把持と破砕が困難であり,一期的な処置を断念した.処置から5時間後,腹痛を契機に穿孔の診断に至ったため,緊急でERCPを行い,胆管と膵管へ経鼻ドレナージを挿入した.以降,次第に炎症所見は改善し,処置20日後に退院した.当院では,ESTに伴う穿孔を2例,内視鏡的乳頭部切除術に伴う穿孔を2例経験し,ドレナージを行わなかった1例で最終的に外科的手術を要した.乳頭部の穿孔症例に対する内視鏡的胆管・膵管ドレナージ術の有効性が示唆される症例であった. | 
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| ISSN: | 0914-0077 1883-6879  | 
| DOI: | 10.11210/tando.35.744 |