IVRによる主膵管ドレナージが奏効した重症膵空腸縫合不全の一例
膵切除後の膵液瘻は致死的となりえる合併症である.われわれは敗血症性ショックを伴った重篤な膵空腸縫合不全に対し再手術,interventional radiology(IVR)によるドレーン管理,経腸栄養によって救命し得た症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は76歳男性,IPMC疑いに対しSSPPD-II-A-1を施行した.術後重篤な敗血症性ショックを伴う膵液瘻を発症し6PODに再開腹し腹腔内洗浄,ドレーンの再留置,挙上空腸内に減圧tubeを留置した.集中治療管理の後,27PODに経腸栄養tubeを挙上空腸から胃空腸吻合部を越えて留置し,経腸栄養を開始した.37PODには,吻...
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Published in | 膵臓 Vol. 36; no. 6; pp. 385 - 393 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本膵臓学会
28.12.2021
日本膵臓学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0913-0071 1881-2805 |
DOI | 10.2958/suizo.36.385 |
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Summary: | 膵切除後の膵液瘻は致死的となりえる合併症である.われわれは敗血症性ショックを伴った重篤な膵空腸縫合不全に対し再手術,interventional radiology(IVR)によるドレーン管理,経腸栄養によって救命し得た症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は76歳男性,IPMC疑いに対しSSPPD-II-A-1を施行した.術後重篤な敗血症性ショックを伴う膵液瘻を発症し6PODに再開腹し腹腔内洗浄,ドレーンの再留置,挙上空腸内に減圧tubeを留置した.集中治療管理の後,27PODに経腸栄養tubeを挙上空腸から胃空腸吻合部を越えて留置し,経腸栄養を開始した.37PODには,吻合部背側に留置したドレーン孔より透視下逆行性に造影を行い,それを頼りに主膵管に直接tubeを挿入することに成功し膵管外瘻とした.以後膵液瘻は徐々に改善しドレーンは全て抜去,92PODに退院した |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.36.385 |