直視下生検にて診断に至った骨髄脂肪腫の1例

背景.骨髄脂肪腫の多くは副腎皮質に発生し胸部領域に発生するのは稀で,胸部では縦隔発生例が多いとされている.症例.71歳の男性.健康診断の胸部単純X線写真で右下肺野の腫瘤影を指摘され,当科を受診した.胸部CTで,右中葉の無気肺と右中葉支に長径約18 mmの脂肪成分を含む結節影を認め,造影効果はわずかであった.気管支鏡検査では右中葉支に表面平滑な腫瘤性病変を認め,直視下生検を行ったところ,脂肪組織および造血細胞を3系統認め骨髄脂肪腫と診断した.骨髄穿刺では正形成骨髄であり,3系統ともに分化良好で線維化は認めなかった.右中葉は無気肺となっており肺炎を繰り返すリスクがあったため,手術目的に呼吸器外科へ...

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Published in気管支学 Vol. 46; no. 3; pp. 177 - 181
Main Authors 杉原, 雅大, 露木, 琢司, 村松, 秀樹, 中尾, 心人, 木下, 亮輔, 栗山, 満美子, 清利, 紘子, 芳川, 豊史, 武田, 典久, 平田, 雄也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.05.2024
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.46.3_177

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Summary:背景.骨髄脂肪腫の多くは副腎皮質に発生し胸部領域に発生するのは稀で,胸部では縦隔発生例が多いとされている.症例.71歳の男性.健康診断の胸部単純X線写真で右下肺野の腫瘤影を指摘され,当科を受診した.胸部CTで,右中葉の無気肺と右中葉支に長径約18 mmの脂肪成分を含む結節影を認め,造影効果はわずかであった.気管支鏡検査では右中葉支に表面平滑な腫瘤性病変を認め,直視下生検を行ったところ,脂肪組織および造血細胞を3系統認め骨髄脂肪腫と診断した.骨髄穿刺では正形成骨髄であり,3系統ともに分化良好で線維化は認めなかった.右中葉は無気肺となっており肺炎を繰り返すリスクがあったため,手術目的に呼吸器外科へ紹介したが,患者の手術希望がなかったため,経過観察となっている.結論.肺および気管支に発生する骨髄脂肪腫は非常に稀であり,直視下生検を行い診断できた点からも貴重な症例と考え報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.46.3_177