肝予備能評価に用いるプロトロンビン時間測定試薬の検証

目的:肝疾患診療に不可欠なChild-Pugh分類の規定因子のひとつであるプロトロンビン時間(PT)活性値は,未だ標準化されておらず,肝予備能評価に混乱を招いている。本邦で使用されているPT測定試薬を用いて,Child-Pugh分類の結果を検証した。 方法:2014年から2016年までに同意を得た肝疾患患者147例を対象に,7種の測定試薬でPT活性値 (%) を測定し,各測定試薬結果に基づく肝予備能の比較を行った。 結果:検証した7種類のPT測定試薬で,本邦の検査施設の72.9%を網羅した。7種類の測定試薬による同一検体のPT活性値の平均では,76.6 ± 19.2(%) から89.2 ± 2...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 49; no. 2; pp. 41 - 47
Main Authors 服部, 伸洋, 安田, 宏, 伊東, 文生, 得平, 卓也, 渡邊, 綱正, 鈴木, 達也, 高橋, 秀明, 松本, 伸行, 松永, 光太郎, 池田, 裕喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会 2021
聖マリアンナ医科大学医学会
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ISSN0387-2289
2189-0285
DOI10.14963/stmari.49.41

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Summary:目的:肝疾患診療に不可欠なChild-Pugh分類の規定因子のひとつであるプロトロンビン時間(PT)活性値は,未だ標準化されておらず,肝予備能評価に混乱を招いている。本邦で使用されているPT測定試薬を用いて,Child-Pugh分類の結果を検証した。 方法:2014年から2016年までに同意を得た肝疾患患者147例を対象に,7種の測定試薬でPT活性値 (%) を測定し,各測定試薬結果に基づく肝予備能の比較を行った。 結果:検証した7種類のPT測定試薬で,本邦の検査施設の72.9%を網羅した。7種類の測定試薬による同一検体のPT活性値の平均では,76.6 ± 19.2(%) から89.2 ± 20.2(%) まで,最大で12.6%の乖離を認め,二元配置の分散分析を用いた統計学的解析で各測定試薬間の結果に有意差を認めた(p<0.001)。また,147例のChild-Pugh分類において,PT活性値を測定した試薬によってChild-Pugh class Aが88例から96例まで,最大8例の乖離を認めた。 結論:本邦の多くの施設が使用しているPT測定試薬であっても,同一検体の測定結果に差を生じ,Child-Pugh分類の結果が異なる可能性があることを認識する必要がある。
ISSN:0387-2289
2189-0285
DOI:10.14963/stmari.49.41