成人の愛着:鳥研究からの考察

「はじめに」Bowlby は乳幼児期の母子関係をもとに愛着理論を形成し, 「危機的状況に際して, 個体が特定の他個体への近接を通して, 主観的な安全の感覚を回復・維持しようとする傾向」を愛着(attachment)と呼んだ. その後, Shaver と Hazan は, 乳幼児期の母子関係と青年・成人期の恋愛や夫婦関係の間に存在する共通項を指摘し, 成人の愛着理論を提唱した. それら共通項は, Bowlby が定義した愛着を具体的な4つの側面から説明したもので, 特定の対象との近接性を求め, 維持しようとする近接維持(proximity maintenance), 特定の対象との分離に対して抵...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心身健康科学 Vol. 12; no. 2; pp. 58 - 61
Main Author 藤原, 宏子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心身健康科学会 01.09.2016
Online AccessGet full text
ISSN1882-6881
1882-689X
DOI10.11427/jhas.12.58

Cover

More Information
Summary:「はじめに」Bowlby は乳幼児期の母子関係をもとに愛着理論を形成し, 「危機的状況に際して, 個体が特定の他個体への近接を通して, 主観的な安全の感覚を回復・維持しようとする傾向」を愛着(attachment)と呼んだ. その後, Shaver と Hazan は, 乳幼児期の母子関係と青年・成人期の恋愛や夫婦関係の間に存在する共通項を指摘し, 成人の愛着理論を提唱した. それら共通項は, Bowlby が定義した愛着を具体的な4つの側面から説明したもので, 特定の対象との近接性を求め, 維持しようとする近接維持(proximity maintenance), 特定の対象との分離に対して抵抗し, 苦悩する分離苦悩(separation distress), 危険に際し, 特定の対象から安心感を得ようとする安全な避難所(safe haven), 特定の対象の存在によって探索行動などが活発になる安全基地(secure base)である.
ISSN:1882-6881
1882-689X
DOI:10.11427/jhas.12.58