NPHS2 遺伝子変異を認めた乳児ネフローゼ症候群の1 例

症例は生後6 か月の男児で,眼瞼浮腫を主訴に受診し高度蛋白尿持続と低アルブミン血症を認めネフローゼ症候群と診断された。プレドニゾロン60 mg/m2/ 日を連日投与したが治療に反応せず,治療開始第33 日目に腎生検を行った。光学顕微鏡では全糸球体の2/3 にメサンギウム細胞増殖や全節性硬化を認めた。免疫染色は陰性で,電子顕微鏡では一部足突起の癒合と消失を認めた。遺伝子解析でNPHS2 遺伝子のExon4 にp.R168C のミスセンスのホモ接合体変異を認めた。また,両親双方に同部位のヘテロ接合体変異を認めた。免疫抑制療法による治療は無効と判断し,片側腎摘出を行った。NPHS2 は足突起間に形成...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 27; no. 1; pp. 30 - 35
Main Authors 磯山, 恵一, 布山, 正貴, 伊藤, 秀一, 渡邊, 常樹, 西岡, 貴弘, 佐藤, 舞, 池田, 裕一, 小椋, 雅夫, 亀井, 宏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2014
日本小児腎臓病学会
Subjects
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.27.30

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Summary:症例は生後6 か月の男児で,眼瞼浮腫を主訴に受診し高度蛋白尿持続と低アルブミン血症を認めネフローゼ症候群と診断された。プレドニゾロン60 mg/m2/ 日を連日投与したが治療に反応せず,治療開始第33 日目に腎生検を行った。光学顕微鏡では全糸球体の2/3 にメサンギウム細胞増殖や全節性硬化を認めた。免疫染色は陰性で,電子顕微鏡では一部足突起の癒合と消失を認めた。遺伝子解析でNPHS2 遺伝子のExon4 にp.R168C のミスセンスのホモ接合体変異を認めた。また,両親双方に同部位のヘテロ接合体変異を認めた。免疫抑制療法による治療は無効と判断し,片側腎摘出を行った。NPHS2 は足突起間に形成されるスリット膜を構成する蛋白質のひとつであるPodocin をコードする遺伝子で,その変異によってステロイド抵抗性ネフローゼ症候群や巣状分節性糸球体硬化症を発症する。NPHS2 遺伝子変異は欧米では頻度が高いが本邦においては稀であり,3 例が報告されているのみである。遺伝子変異を同定できたことで不要な免疫抑制療法を回避できた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.27.30