FlowPRAⓇを用いた抗HLA抗体検出における血清と血漿検体種間の統計学的比較検討

Flow cytometryを用いた抗HLA抗体の検出法であるFlowPRAⓇ法には,まだ標準化された検査方法がなく,使用する検体も統一されてない.今回,血清および血漿の異なる検体種間での検査結果を比較検討した.55例の患者及び健常人から血清,血漿を同時に採取し,抗HLA抗体の測定を行なった.抗HLA抗体と反応した陽性ビーズの割合である%PRAはclass I,IIともに両検体のあいだに強い相関が見られた(それぞれr = 0.8570,p < 0.0001,r = 0.7529,p < 0.0001).抗HLA抗体の有無の判定も,class Iでは55例全例で,class IIでは54例で一致...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 64; no. 1; pp. 43 - 49
Main Authors 須佐, 梢, 関根, 芳岳, 丸橋, 隆行, 半田, 寛, 岩原, かなえ, 横濱, 章彦, 石川, 怜依奈, 西本, 奈津美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2018
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.64.43

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Summary:Flow cytometryを用いた抗HLA抗体の検出法であるFlowPRAⓇ法には,まだ標準化された検査方法がなく,使用する検体も統一されてない.今回,血清および血漿の異なる検体種間での検査結果を比較検討した.55例の患者及び健常人から血清,血漿を同時に採取し,抗HLA抗体の測定を行なった.抗HLA抗体と反応した陽性ビーズの割合である%PRAはclass I,IIともに両検体のあいだに強い相関が見られた(それぞれr = 0.8570,p < 0.0001,r = 0.7529,p < 0.0001).抗HLA抗体の有無の判定も,class Iでは55例全例で,class IIでは54例で一致した.しかし,1例で,血清で陰性,血漿で陽性だった.一方,Mean Fluorescence Intensity値はclass IおよびIIともに血漿検体で有意に高かった.また,2例で血漿検体に非特異反応が見られた.よってFlowPRAⓇ法による抗HLA抗体測定は血清でも血漿でもほぼ同等の結果が期待でき,血清で判定困難な例では血漿の測定が有用である可能性がある.一方,血漿では高いバックグラウンドや非特異反応が見られる場合もあり,検体種の特性を考慮し検査する必要がある.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.64.43