頚部軟部組織の層構造に基づいた高位CEAにおける耳下腺周囲の剝離

「はじめに」 高位病変に対するCEAの工夫の1つとして, 耳下腺を剥離して胸鎖乳突筋前縁上方部を十分に剥離する操作が挙げられる. 今回われわれは, 頚部軟部組織の解剖学的層構造に基づいて安全確実に耳下腺周囲を剥離する方法について検討した. 「頚部軟部組織の解剖と手術手技」 「1. 耳下腺下縁周囲の層構造と剥離のポイント」 耳下腺周囲の頚部皮下組織の解剖学的層構造は, Fig.1に示すように, 上層から順に皮下脂肪組織層, 浅頚筋膜ならびにそれに連続する広頚筋の層が存在し, この下層に広がる脂肪を含む結合組織を経て深頚筋膜浅葉に覆われた胸鎖乳突筋の層にいたる. そして, この胸鎖乳突筋の表層を外...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 48; no. 4; pp. 292 - 299
Main Authors 栗栖, 薫, 今田, 裕尊, 三原, 千惠, 川本, 仁志, 山田, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2020
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.48.292

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Summary:「はじめに」 高位病変に対するCEAの工夫の1つとして, 耳下腺を剥離して胸鎖乳突筋前縁上方部を十分に剥離する操作が挙げられる. 今回われわれは, 頚部軟部組織の解剖学的層構造に基づいて安全確実に耳下腺周囲を剥離する方法について検討した. 「頚部軟部組織の解剖と手術手技」 「1. 耳下腺下縁周囲の層構造と剥離のポイント」 耳下腺周囲の頚部皮下組織の解剖学的層構造は, Fig.1に示すように, 上層から順に皮下脂肪組織層, 浅頚筋膜ならびにそれに連続する広頚筋の層が存在し, この下層に広がる脂肪を含む結合組織を経て深頚筋膜浅葉に覆われた胸鎖乳突筋の層にいたる. そして, この胸鎖乳突筋の表層を外頚静脈や大耳介神経, 頚横神経が各々深頚筋膜浅葉にコンパートメントに包み込まれた状態で走行している. 特に, 大耳介神経は広頚筋が欠ける上方部をそのまま上行して耳下腺表層に向かう. また, 耳下腺はその後縁が通常, 胸鎖乳突筋前縁より後方に位置して胸鎖乳突筋を覆うように存在しているが, 層構造的には深頚筋膜浅葉にコンパートメントに包み込まれている.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.48.292