重症くも膜下出血患者に対する血管内冷却カテーテルによる体温管理の可能性と安全性について ─低体温療法から復温後の常温管理に関する初期経験

「はじめに」くも膜下出血 (subarachnoid hemorrhage : SAH) 患者において, 発熱は感染の有無によらず頻繁にみられ, 転帰不良と死亡率の増加に関連することがメタアナリシスで示されている. また, 発熱は出血量の多寡や感染の有無によらず症候性脳血管攣縮の発生頻度と転帰不良に関連する. マイクロダイアリシスを用いた研究では, 発熱が代謝ストレスと関連することが示されている. 積極的な常温管理がSAH患者の転帰改善に寄与したとの報告がみられるが, 一方で血管内冷却法による体温管理が合併症増加をもたらしたとの報告もある. 当施設では院内倫理委員会の承認のもと, World...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 45; no. 6; pp. 445 - 450
Main Authors 二村, 元, 小畑, 仁司, 荻田, 誠司, 川上, 真樹子, 杉江, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2017
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.45.445

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Summary:「はじめに」くも膜下出血 (subarachnoid hemorrhage : SAH) 患者において, 発熱は感染の有無によらず頻繁にみられ, 転帰不良と死亡率の増加に関連することがメタアナリシスで示されている. また, 発熱は出血量の多寡や感染の有無によらず症候性脳血管攣縮の発生頻度と転帰不良に関連する. マイクロダイアリシスを用いた研究では, 発熱が代謝ストレスと関連することが示されている. 積極的な常温管理がSAH患者の転帰改善に寄与したとの報告がみられるが, 一方で血管内冷却法による体温管理が合併症増加をもたらしたとの報告もある. 当施設では院内倫理委員会の承認のもと, World Federation of Neurological Surgeons (WFNS) grade VのSAH患者に対して, 体表冷却法により来院直後より33.5℃の低体温療法 (therapeutic hypothermia : TH) ・脳動脈瘤根治術を試みてきた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.45.445