もやもや病患者におけるうつ状態の発生と前頭葉機能に関する検討

「はじめに」もやもや病は, 内頚動脈終末部とその主分枝が進行性に狭窄あるいは閉塞し, 脳底部に微細な異常血管網を構築する原因不明の疾患であり, 脳の低灌流により虚血性脳卒中や認知機能障害をきたし得る. もやもや病における認知機能障害は, 成人患者で頻度が高く, 主に遂行機能が障害され, 梗塞の有無にかかわらず前頭葉に対する血行再建術後に改善がみられることから, 前頭葉の低灌流が関与していると考えられている. 一方, うつ状態は脳卒中後の患者の約1/3に発生する合併症であるが, 十分に評価されずに見逃されることが多い. うつ状態の発生メカニズムにも前頭葉の血流障害の関与が示唆されているが, 前頭...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 43; no. 4; pp. 289 - 293
Main Authors 黒木, 亮太, 松島, 俊夫, 飯原, 弘二, 中溝, 玲, 吉川, 雄一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2015
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.43.289

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Summary:「はじめに」もやもや病は, 内頚動脈終末部とその主分枝が進行性に狭窄あるいは閉塞し, 脳底部に微細な異常血管網を構築する原因不明の疾患であり, 脳の低灌流により虚血性脳卒中や認知機能障害をきたし得る. もやもや病における認知機能障害は, 成人患者で頻度が高く, 主に遂行機能が障害され, 梗塞の有無にかかわらず前頭葉に対する血行再建術後に改善がみられることから, 前頭葉の低灌流が関与していると考えられている. 一方, うつ状態は脳卒中後の患者の約1/3に発生する合併症であるが, 十分に評価されずに見逃されることが多い. うつ状態の発生メカニズムにも前頭葉の血流障害の関与が示唆されているが, 前頭葉の低灌流をきたし得るもやもや病患者におけるその発生頻度は不明である. 今回われわれは, 長期間外来通院しているもやもや病患者におけるうつ状態の発生頻度と, 前頭葉機能をはじめとした諸因子との関連を検討した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.43.289