胆管金属ステント留置後に膵アーケード仮性動脈瘤を形成し胆道出血をきたした1例

症例は86歳女性.膵頭部癌と診断したが,高齢のため積極的治療は行わず経過観察していた.閉塞性黄疸に対してself-expandable metallic stent(SEMS)による内視鏡的胆管ドレナージを施行した.SEMS留置18日後にめまいと下血があったが,出血源は明らかではなかった.SEMS留置37日後に下血によりショックとなった.造影CT検査では乳頭近傍から活動性出血を認めた.血管造影検査を施行するとSEMS下端近傍の後上膵十二指腸動脈に仮性動脈瘤,extravasationを認め,n-butyl-2-cianoacrylate(NBCA)による血管塞栓術を行い止血した.以降,原疾患の...

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Published in膵臓 Vol. 33; no. 5; pp. 826 - 833
Main Authors 稲富, 理, 嶋田, 功太郎, 駒井, 康伸, 井上, 博登, 横田, 佳大, 田辺, 浩喜, 安藤, 朗, 新谷, 修平, 佐藤, 祐斗, 馬場, 弘道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.10.2018
Subjects
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.33.826

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Summary:症例は86歳女性.膵頭部癌と診断したが,高齢のため積極的治療は行わず経過観察していた.閉塞性黄疸に対してself-expandable metallic stent(SEMS)による内視鏡的胆管ドレナージを施行した.SEMS留置18日後にめまいと下血があったが,出血源は明らかではなかった.SEMS留置37日後に下血によりショックとなった.造影CT検査では乳頭近傍から活動性出血を認めた.血管造影検査を施行するとSEMS下端近傍の後上膵十二指腸動脈に仮性動脈瘤,extravasationを認め,n-butyl-2-cianoacrylate(NBCA)による血管塞栓術を行い止血した.以降,原疾患の増悪で永眠されるまで半年間再出血はなかった.悪性胆道狭窄に対するSEMS留置後に胆道出血をきたし,診断に難渋した1例を経験したので報告する.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.33.826