アミロイド線維形成・沈着の分子機構 ―β2-ミクログロブリンアミロイド線維を中心に

われわれはこれまでに,独自に開発した分光蛍光定量法及び反応速度論的実験系を駆使し,アミロイド線維形成過程を説明する重合核依存性重合モデルを構築,様々な生体分子のβ2-ミクログロブリン(β2-m)アミロイド線維形成過程に及ぼす影響を解析して来た.最近,リゾフォスファチジン酸(LPA)など一部のリゾリン脂質,各種遊離脂肪酸(NEFA)など,陰性荷電を有する生体界面活性分子が,生理条件下におけるβ2-mアミロイド線維の試験管内伸長反応を促進すること,その分子機構として,LPA及びNEFAがβ2-mの天然構造を部分的にアンフォールドさせること,LPAがアミロイド線維表面に結合し,線維構造を安定化させる...

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Published in生物物理化学 Vol. 54; no. 1; pp. 13 - 17
Main Author 内木, 宏延
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 2010
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ISSN0031-9082
1349-9785
DOI10.2198/sbk.54.13

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Summary:われわれはこれまでに,独自に開発した分光蛍光定量法及び反応速度論的実験系を駆使し,アミロイド線維形成過程を説明する重合核依存性重合モデルを構築,様々な生体分子のβ2-ミクログロブリン(β2-m)アミロイド線維形成過程に及ぼす影響を解析して来た.最近,リゾフォスファチジン酸(LPA)など一部のリゾリン脂質,各種遊離脂肪酸(NEFA)など,陰性荷電を有する生体界面活性分子が,生理条件下におけるβ2-mアミロイド線維の試験管内伸長反応を促進すること,その分子機構として,LPA及びNEFAがβ2-mの天然構造を部分的にアンフォールドさせること,LPAがアミロイド線維表面に結合し,線維構造を安定化させることにより脱重合を阻害することを明らかにした.本稿では,β2-mアミロイド線維の形成・沈着をもたらす生体分子間相互作用に焦点を当て,β2-mアミロイドーシス発症の分子機構を概観する.
ISSN:0031-9082
1349-9785
DOI:10.2198/sbk.54.13