グループホームに入居する軽・中等度の認知症高齢者における睡眠の改善に対する昼寝と軽運動による介入プログラムの効果
「I. 緒言」近年, わが国では高齢化の進展に伴って認知症の有病者数が急速に増加しており, 久山町研究の認知症疫学調査に基づく推計では, 患者数が2025年に730万人, 2040年に950万人に到達すると予想されている. 認知症は, 一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し, 日常生活や社会生活, 職業遂行に支障を来す状態とされる. 中枢神経系の変性疾患による認知症では, 初期に記憶障害, 見当識障害, 遂行機能障害などの中核症状がみられ, 病状の進行に伴って, 感情・意欲の障害, 幻視, 妄想などの精神症状や, 焦燥, 暴言・暴力, 徘徊などの行動障害が多岐にわたっ...
Saved in:
Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 73; no. 3; pp. 365 - 372 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本衛生学会
2018
日本衛生学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5082 1882-6482 |
DOI | 10.1265/jjh.73.365 |
Cover
Summary: | 「I. 緒言」近年, わが国では高齢化の進展に伴って認知症の有病者数が急速に増加しており, 久山町研究の認知症疫学調査に基づく推計では, 患者数が2025年に730万人, 2040年に950万人に到達すると予想されている. 認知症は, 一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し, 日常生活や社会生活, 職業遂行に支障を来す状態とされる. 中枢神経系の変性疾患による認知症では, 初期に記憶障害, 見当識障害, 遂行機能障害などの中核症状がみられ, 病状の進行に伴って, 感情・意欲の障害, 幻視, 妄想などの精神症状や, 焦燥, 暴言・暴力, 徘徊などの行動障害が多岐にわたって出現してくる. 一般的に, 加齢とともに生理学的な睡眠特性が変化するため, 高齢者では夜間中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠障害が増加する. 尿生産量は睡眠時に減少するが, 中途覚醒が多くなると尿生産量が低下せず, 加えて, 高齢者は膀胱蓄尿量が少ないことから夜間頻尿・多尿を招き, さらなる中途覚醒をもたらす悪循環を引き起こす. |
---|---|
ISSN: | 0021-5082 1882-6482 |
DOI: | 10.1265/jjh.73.365 |