高齢者における症候性脳血管攣縮治療の現状 ─WFNS grade再評価研究のデータベースを用いた二次解析研究
「目的」 くも膜下出血(SAH)急性期治療後の症候性脳血管攣縮(SVS)発生は, 再出血予防を目的とした初期治療に成功した患者の転帰に大きな影響を及ぼす要因となる. SVSに対する治療は, 血管内治療, 薬剤投与, 循環管理による脳血流の増加など多岐にわたる方法が試みられ, 少しずつであるが進歩してきており, 予後改善に有効であったとの報告も散見される. SVS発生への年齢の関与については, 高齢のSAH患者では若年者と比べてSVS発生が少ないという報告がある一方, 前者で発生が多い, あるいは両者で発生率は変わらないとの論文もあり, 一定の結論を得ていないのが現状である. しかし, 高齢者で...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 48; no. 5; pp. 328 - 332 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2020
日本脳卒中の外科学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.48.328 |
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Summary: | 「目的」 くも膜下出血(SAH)急性期治療後の症候性脳血管攣縮(SVS)発生は, 再出血予防を目的とした初期治療に成功した患者の転帰に大きな影響を及ぼす要因となる. SVSに対する治療は, 血管内治療, 薬剤投与, 循環管理による脳血流の増加など多岐にわたる方法が試みられ, 少しずつであるが進歩してきており, 予後改善に有効であったとの報告も散見される. SVS発生への年齢の関与については, 高齢のSAH患者では若年者と比べてSVS発生が少ないという報告がある一方, 前者で発生が多い, あるいは両者で発生率は変わらないとの論文もあり, 一定の結論を得ていないのが現状である. しかし, 高齢者では脳の機能回復力が悪く全身合併症も多いなど, いったんSVSを発症すると治療に難渋し転帰が悪くなることは容易に予想される. 本研究では, WFNS CVD and Therapy Committeeの承認のもと, 日本脳神経外科学会の主導で行われたWFNS grade再評価のための前向き多施設共同研究(元研究)のデータベース(DB)を用いて, 本邦における高齢SAH患者のSVS治療の現状につき検討した. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.48.328 |