紫斑病性腎炎の難治例に対するシクロスポリンの有効性

要旨 紫斑病性腎炎(HSPN)に対してシクロスポリン(CsA)が有効との報告が散見されるが,本邦での報告は少なく,有効性はいまだ不明である。当科におけるHSPN 症例の中で,経過中にネフローゼ症候群の診断基準を満たし,プレドニゾロン(PSL)を含めた治療開始後も高度蛋白尿が続く難治例を対象に,CsA を使用し,その有効性を検討した。対象は6 例で,平均年齢は6.9 歳,CsA 投与期間は平均2.6 年であった。6 例全例で,尿蛋白は陰性化し,腎病理所見も改善した。CsA を使用する際は早期導入が特に有効であり,PSL およびアンギオテンシン変換酵素阻害薬を併用した方がよいと考えられた。CsA...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 28; no. 1; pp. 32 - 36
Main Authors 平本, 龍吾, 秋草, 文四郎, 松本, 真輔, 大森, 教雄, 江口, 広宣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2015
日本小児腎臓病学会
Subjects
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.28.32

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Summary:要旨 紫斑病性腎炎(HSPN)に対してシクロスポリン(CsA)が有効との報告が散見されるが,本邦での報告は少なく,有効性はいまだ不明である。当科におけるHSPN 症例の中で,経過中にネフローゼ症候群の診断基準を満たし,プレドニゾロン(PSL)を含めた治療開始後も高度蛋白尿が続く難治例を対象に,CsA を使用し,その有効性を検討した。対象は6 例で,平均年齢は6.9 歳,CsA 投与期間は平均2.6 年であった。6 例全例で,尿蛋白は陰性化し,腎病理所見も改善した。CsA を使用する際は早期導入が特に有効であり,PSL およびアンギオテンシン変換酵素阻害薬を併用した方がよいと考えられた。CsA の投与期間は2 年程度,目標血中濃度はトラフ値で50–90ng/mℓ程度が妥当と考えられた。CsA を使用対象とするHSPN 症例の選択は検討課題であるが,PSL 開始後も高度蛋白尿が続く難治例に対しては,CsA は試みる価値のある免疫抑制薬であると考えられた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.28.32