もやもや病における塞栓性脳梗塞の報告

「はじめに」もやもや病は両側内頚動脈終末部に慢性進行性の狭窄を生じ, 側副路として脳底部に異常血管網を生じる疾患である. もやもや病の主たる脳虚血発作発症の機序は, 脳灌流圧の低下による血行力学的脳虚血と考えられる. 一方で, われわれは塞栓性機序と考えられる脳梗塞を経験しており, 本研究ではこれらを報告する. 「対象と方法」2003年1月より2015年3月までに当院のもやもや病データベースに登録されたもやもや病確診例は165例であり, 初回発作の病型は一過性脳虚血発作(transient ischemic attacks: TIA)67例(40.5%), 脳梗塞36例(21.8%), 脳出血...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 45; no. 2; pp. 109 - 114
Main Authors 中村, 博彦, 立田, 泰之, 櫻井, 卓, 丸賀, 庸平, 大里, 俊明, 本庄, 華織, 渡部, 寿一, 石田, 裕樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2017
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.45.109

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Summary:「はじめに」もやもや病は両側内頚動脈終末部に慢性進行性の狭窄を生じ, 側副路として脳底部に異常血管網を生じる疾患である. もやもや病の主たる脳虚血発作発症の機序は, 脳灌流圧の低下による血行力学的脳虚血と考えられる. 一方で, われわれは塞栓性機序と考えられる脳梗塞を経験しており, 本研究ではこれらを報告する. 「対象と方法」2003年1月より2015年3月までに当院のもやもや病データベースに登録されたもやもや病確診例は165例であり, 初回発作の病型は一過性脳虚血発作(transient ischemic attacks: TIA)67例(40.5%), 脳梗塞36例(21.8%), 脳出血36例(21.8%), 脳梗塞と脳出血の合併1例(0.6%), 頭痛型13例(7.8%), 無症候型11例(6.6%), てんかん型1例(0.6%)であった. 脳梗塞, TIAの虚血例は103例であり, このうち塞栓性機序と考えられた脳梗塞4例を対象として後方視的に研究を行った.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.45.109