内頚動脈瘤手術時の上下垂体動脈血流評価における術中蛍光脳血管撮影の有用性

「はじめに」 脳動脈瘤の手術においては, 瘤内への血流遮断と母血管の血流温存に加えて, 穿通枝の血流温存が求められる. 無症候性未破裂脳動脈瘤の術後に神経脱落症状をきたすことは避けなければならないが, 傍前床突起部内頚動脈瘤のクリッピング術において上下垂体動脈の血流不全をきたすと, 視機能障害が発生する可能性があると考えられている3). 長らく, 脳血管造影が脳主幹動脈の血流温存や動脈瘤の血流遮断の評価に対するgold standardであったが, 術前画像検査において描出されないほど細い上下垂体動脈の評価は不可能である. 穿通枝の血流評価には神経内視鏡やDoppler血流計が汎用されてきたが...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 40; no. 2; pp. 123 - 128
Main Authors 吉川, 雄一郎, 吉本, 幸司, 天野, 敏之, 中溝, 玲, 高岸, 創, 溝口, 昌弘, 佐々木, 富男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2012
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.40.123

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Summary:「はじめに」 脳動脈瘤の手術においては, 瘤内への血流遮断と母血管の血流温存に加えて, 穿通枝の血流温存が求められる. 無症候性未破裂脳動脈瘤の術後に神経脱落症状をきたすことは避けなければならないが, 傍前床突起部内頚動脈瘤のクリッピング術において上下垂体動脈の血流不全をきたすと, 視機能障害が発生する可能性があると考えられている3). 長らく, 脳血管造影が脳主幹動脈の血流温存や動脈瘤の血流遮断の評価に対するgold standardであったが, 術前画像検査において描出されないほど細い上下垂体動脈の評価は不可能である. 穿通枝の血流評価には神経内視鏡やDoppler血流計が汎用されてきたが1)2)8)9)11), これらの単独使用によって上下垂体動脈の血流不全を正確に評価することは容易ではない. 近年, 脳血管手術の際の血流評価における術中蛍光脳血管撮影の有用性が報告され1)2)4)5)7)12-18), 広く利用されている.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.40.123