中国・インド・フィリピン・北欧との感染症発生動向に関する共同研究

「1. はじめに」感染症の発生変動には, 宿主, 環境, そして病原体の3因子が相互に複雑に関与していると考えられている. そして, その3因子の時々刻々と変化する相互作用を現象として観測可能なのが, 感染症発生数時系列といった実測時系列データである. これらの3因子の相互作用を理解するために, 数理モデルが構築され, 実測データの時系列解析が行われてきた. しかし, 数理モデルに関する研究と実測データに関する研究が, 相互に補いあって, 発展してきたとは言い難い. その理由の一つとして, これまでの時系列解析法が長いデータ長の時系列を前提にしており, 多くても数百点の短い感染症の実測データの...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 72; no. 2; pp. 112 - 122
Main Authors 鷲見, 紋子, 小林, 宣道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2017
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.72.112

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Summary:「1. はじめに」感染症の発生変動には, 宿主, 環境, そして病原体の3因子が相互に複雑に関与していると考えられている. そして, その3因子の時々刻々と変化する相互作用を現象として観測可能なのが, 感染症発生数時系列といった実測時系列データである. これらの3因子の相互作用を理解するために, 数理モデルが構築され, 実測データの時系列解析が行われてきた. しかし, 数理モデルに関する研究と実測データに関する研究が, 相互に補いあって, 発展してきたとは言い難い. その理由の一つとして, これまでの時系列解析法が長いデータ長の時系列を前提にしており, 多くても数百点の短い感染症の実測データの時間的変動構造を精緻に抽出できず, 従って, 数学モデルとの比較検討が十分に行われなかったことが挙げられる. 筆者は, これまで, 中国, インド, フィリピン, デンマーク, そしてフィンランドと共同研究を行う機会に恵まれた.
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.72.112