Paraclinoid動脈瘤頚部クリッピング術における合併症の分析

「はじめに」paraclinoid(傍前床突起部)動脈瘤は視神経近傍にあるため, クリッピング術を選択した場合, 合併症として視障害が生じる率は7.4-18.8%と他部位の瘤に比べて明らかに高い. 視障害を起こす機序としては, 前床突起削除の操作, 視神経の剥離操作, クリップによる圧迫, 眼動脈への塞栓などが挙げられる. 合併症を減らすには, どのようなクリップを選び, どのようなかけ方が最適か, その観点に踏み込んで治療成績を分析した報告は少ない. 今回, 自験例を後方視的に検討し, 視障害を防止するための最適なクリッピング術について考察する. 「対象と方法」paraclinoid動脈瘤と...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中の外科 Vol. 45; no. 3; pp. 165 - 170
Main Authors 佐瀬, 泰玄, 池田, 哲也, 田中, 雄一郎, 伊藤, 英道, 川口, 公悠樹, 大塩, 恒太郎, 梶, 友紘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2017
日本脳卒中の外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.45.165

Cover

More Information
Summary:「はじめに」paraclinoid(傍前床突起部)動脈瘤は視神経近傍にあるため, クリッピング術を選択した場合, 合併症として視障害が生じる率は7.4-18.8%と他部位の瘤に比べて明らかに高い. 視障害を起こす機序としては, 前床突起削除の操作, 視神経の剥離操作, クリップによる圧迫, 眼動脈への塞栓などが挙げられる. 合併症を減らすには, どのようなクリップを選び, どのようなかけ方が最適か, その観点に踏み込んで治療成績を分析した報告は少ない. 今回, 自験例を後方視的に検討し, 視障害を防止するための最適なクリッピング術について考察する. 「対象と方法」paraclinoid動脈瘤とは, 瘤頚部が遠位硬膜輪から後交通動脈分岐部までの硬膜内の内頚動脈瘤と定義した. ただし, 術前の画像診断でcarotid cave瘤と判断された場合は, クリッピング術の対象とはしなかった. 1998年から2015年に筆頭著者が術者としてクリッピングを施行した連続60名63個のparaclinoid瘤を検討対象とした.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.45.165