VEMP 所見異常と治療による回復を認めた中枢神経系脱髄疾患の一症例

「はじめに」 多発性硬化症(Multiple sclerosis, 以下 MS)は, 中枢神経系に脱髄病変が時間的・空間的に多発することを特徴とする疾患であり, 前庭脊髄路に脱髄病変が生じれば, VEMP検査でも異常所見がみられることが想定される. 実際, MS症例でcVEMP検査異常やoVEMP検査異常が高頻度に観察されることが報告されている. 今回, われわれはcVEMP検査結果およびoVEMP検査結果を併せて検討することにより, 病変部位や治療効果についての情報を得ることができた症例を経験した. この症例について, 文献的考察を加え報告する. 「症例」 17歳女性 主訴:くらくら感, 両...

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Published inEquilibrium Research Vol. 75; no. 1; pp. 16 - 21
Main Authors 小宮山, 櫻子, 松崎, 真樹, 室伏, 利久, 林, 裕史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 2016
日本めまい平衡医学会
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ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.75.16

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Summary:「はじめに」 多発性硬化症(Multiple sclerosis, 以下 MS)は, 中枢神経系に脱髄病変が時間的・空間的に多発することを特徴とする疾患であり, 前庭脊髄路に脱髄病変が生じれば, VEMP検査でも異常所見がみられることが想定される. 実際, MS症例でcVEMP検査異常やoVEMP検査異常が高頻度に観察されることが報告されている. 今回, われわれはcVEMP検査結果およびoVEMP検査結果を併せて検討することにより, 病変部位や治療効果についての情報を得ることができた症例を経験した. この症例について, 文献的考察を加え報告する. 「症例」 17歳女性 主訴:くらくら感, 両側こめかみの重い感じ 既往歴:1歳時熱性けいれん 家族歴:特記事項なし 社会歴:母が外国人, 10歳時から日本に居住. 現病歴:平成X年Y月3日頃から頭がくらくらする感じ, 両側こめかみの重い感じを自覚. Y月17日内科を受診.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.75.16