海綿静脈洞部大型動脈瘤に対するhigh-flow bypass術後に遅発性の前脈絡叢動脈領域梗塞をきたした1例

「はじめに」 ネッククリッピングが困難な大型/巨大脳動脈瘤に対し, 頭蓋外内high-flow bypass (HFB)を併用した動脈瘤のトラッピング術や母血管閉塞術が行われ, その有効性が報告されている. 一方, バイパスに伴う血流変化のため, 術後急性期に虚血性合併症が生じることも報告されている. 今回, 内頚動脈海綿静脈洞部大型瘤に対して外頚動脈-中大脳動脈HFBを併用した近位母血管結紮術を行ったところ, 術後慢性期に前脈絡叢動脈領域の梗塞を生じた1例を経験した. バイパス術後早期の虚血合併症に関する報告は散見されるが, われわれが渉猟し得たかぎりでは術後慢性期に脳虚血をきたしたとする報...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中の外科 Vol. 46; no. 3; pp. 184 - 188
Main Authors 中野, 茂樹, 藤川, 厚, 石毛, 聡, 町田, 利生, 小野, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2018
日本脳卒中の外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.46.184

Cover

More Information
Summary:「はじめに」 ネッククリッピングが困難な大型/巨大脳動脈瘤に対し, 頭蓋外内high-flow bypass (HFB)を併用した動脈瘤のトラッピング術や母血管閉塞術が行われ, その有効性が報告されている. 一方, バイパスに伴う血流変化のため, 術後急性期に虚血性合併症が生じることも報告されている. 今回, 内頚動脈海綿静脈洞部大型瘤に対して外頚動脈-中大脳動脈HFBを併用した近位母血管結紮術を行ったところ, 術後慢性期に前脈絡叢動脈領域の梗塞を生じた1例を経験した. バイパス術後早期の虚血合併症に関する報告は散見されるが, われわれが渉猟し得たかぎりでは術後慢性期に脳虚血をきたしたとする報告はない. その発生機序についての考察を加え報告する. 「症例」 患者: 65歳, 女性. 既往歴: 高血圧, 肝嚢胞. 現病歴: 1年来の右眼瞼下垂を自覚していたが, 加えて複視も出現したため他院を受診した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.46.184