脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血後の続発性正常圧水頭症併発リスク ─クリッピング術とコイル塞栓術

「はじめに」くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)から1-2カ月後に好発する続発性正常圧水頭症(secondary normal pressure hydrocephalus: sNPH)については, これまで多くの報告がなされ, その自然歴, リスク因子が明らかになりつつある. sNPHの併発はSAH発症時の重症度とは独立した転帰不良要因であり, 多くの脳神経外科医がその予防に関心をもってさまざまな試みが行われてきたにもかかわらず, sNPH発症予防に有効な治療法はいまだに1つも確立していない. たとえば, SAH発症時の急性水頭症の合併はsNPHの強い独立...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 45; no. 3; pp. 189 - 195
Main Authors 石川, 正恒, 岩室, 康司, 山本, 一夫, 山田, 茂樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2017
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.45.189

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Summary:「はじめに」くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage: SAH)から1-2カ月後に好発する続発性正常圧水頭症(secondary normal pressure hydrocephalus: sNPH)については, これまで多くの報告がなされ, その自然歴, リスク因子が明らかになりつつある. sNPHの併発はSAH発症時の重症度とは独立した転帰不良要因であり, 多くの脳神経外科医がその予防に関心をもってさまざまな試みが行われてきたにもかかわらず, sNPH発症予防に有効な治療法はいまだに1つも確立していない. たとえば, SAH発症時の急性水頭症の合併はsNPHの強い独立危険因子であり, 脳室からくも膜下腔へ髄液が流れているとするbulk flow仮説(Cushingの提唱する第3の循環説)が長年信じられてきたことから, 第3脳室前壁を形成するlamina terminalisを開放して脳室と脳槽を交通させることがsNPHの予防につながると信じて行われてきた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.45.189