健常ドナーからの末梢血幹細胞採取における収量予測因子の同定

同種末梢血幹細胞移植において,ドナー負担を最小限に抑え,かつレシピエントに最適な幹細胞数を移植するには,幹細胞採取前に収量を正確に予測して採取計画をたてることが重要である.そこで健常ドナー92例に実施された末梢血幹細胞採取を後方視的に検討し,幹細胞収量に影響する因子を解析した.ドナーは女性32例(34.8%)で,年齢とG-CSF製剤投与開始前の血小板数の中央値は41.5歳(14~61),24.7×104/μl(13.9~41.0)であった.添付文書に則った標準量に対する実際のG-CSF投与量割合は中央値96.3%(56.4~109.0)であった.採取1日目(G-CSF開始4日目)の血液処理量と...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 68; no. 4; pp. 479 - 485
Main Authors 岡田, 和也, 長尾, 美紀, 秦, 明日香, 新井, 康之, 上田, 恭典, 城, 友泰, 髙折, 晃史, 足立, 壯一, 近藤, 忠一, 小尾, 夏野, 諫田, 淳也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 25.08.2022
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.68.479

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Summary:同種末梢血幹細胞移植において,ドナー負担を最小限に抑え,かつレシピエントに最適な幹細胞数を移植するには,幹細胞採取前に収量を正確に予測して採取計画をたてることが重要である.そこで健常ドナー92例に実施された末梢血幹細胞採取を後方視的に検討し,幹細胞収量に影響する因子を解析した.ドナーは女性32例(34.8%)で,年齢とG-CSF製剤投与開始前の血小板数の中央値は41.5歳(14~61),24.7×104/μl(13.9~41.0)であった.添付文書に則った標準量に対する実際のG-CSF投与量割合は中央値96.3%(56.4~109.0)であった.採取1日目(G-CSF開始4日目)の血液処理量とCD34+細胞収量の中央値は10l(4.5~18),195.8×106個(43.1~622.7)で,14例(15.2%)で2日間以上の採取を要した.高齢ドナー,G-CSF製剤投与開始前の血小板数低値,G-CSF投与量低値が有意にCD34+細胞収量を低下させた.十分量のG-CSF製剤を投与することの重要性と,ドナー背景に基づく収量予測により,日程延長を防ぎ,ドナー負担を軽減できる可能性が示唆された.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.68.479