心因性咳嗽の臨床的検討

心因性咳嗽は長びく咳嗽の原因として知られている. 心因性咳嗽と診断された19例についてその臨床的特徴を検討した. 対象の年齢は4~50歳で18例が18歳未満であり, 男性8例・女性11例であった. 当院受診前に8例が複数の医療機関を受診しており, 2例は急性声門下喉頭炎の診断で入院歴があった. 当院では14例が複数科を受診し, 15例が耳鼻咽喉科を受診していた. 合併症として5例に喘息, 3例に発達障害または発達遅滞を認めた. 2カ月以上咳嗽が続いていたのは12例で, 7例は2年以上持続しており, 最長は15年であった. 乾性咳嗽は12例, 犬吠様咳嗽は6例, 咳払いは4例に認められ, のどの...

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 124; no. 11; pp. 1485 - 1491
Main Authors 臼井, 智子, 増田, 佐和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.11.2021
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.124.11_1485

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Summary:心因性咳嗽は長びく咳嗽の原因として知られている. 心因性咳嗽と診断された19例についてその臨床的特徴を検討した. 対象の年齢は4~50歳で18例が18歳未満であり, 男性8例・女性11例であった. 当院受診前に8例が複数の医療機関を受診しており, 2例は急性声門下喉頭炎の診断で入院歴があった. 当院では14例が複数科を受診し, 15例が耳鼻咽喉科を受診していた. 合併症として5例に喘息, 3例に発達障害または発達遅滞を認めた. 2カ月以上咳嗽が続いていたのは12例で, 7例は2年以上持続しており, 最長は15年であった. 乾性咳嗽は12例, 犬吠様咳嗽は6例, 咳払いは4例に認められ, のどの異常感や疼痛, 呼吸困難, 過呼吸と下肢の脱力を訴える例もあった. 睡眠中の咳嗽は記載がある17例中15例で消失するとのことで, 消失しない2例は喘息合併例であった. 喉頭内視鏡検査を実施した14例中9例では検査中に咳嗽が出現せず, 診察中に頻発していた咳嗽が検査中に止まる例も認められた. 原因として何らかの心因が明らかであったのは6例であった. 8例を心療科や精神科に紹介し, 予後として治癒・軽快を確認して終了したのは3例で, 3例は通院を自己中断した. 心因性咳嗽の診断や対応には時間がかかったり難渋する例が少なくない. 治療に抵抗して乾性咳嗽や犬吠様咳嗽が持続する場合, 関連する科が協力して対応することが必要である.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.124.11_1485