miRNAを用いた転写因子制御による歯周組織構成細胞の分化・誘導の可能性

「はじめに」歯周組織は, 歯肉, 歯根膜, セメント質および歯槽骨によって構成される. 歯根膜に存在する間葉系幹細胞は, セメント質, 歯槽骨および歯根膜の再生に関与している. 歯周炎によって破壊された歯周組織を再生するために, guided tissue regeneration(GTR)膜, エナメルマトリックスタンパク質, 血小板由来成長因子BB(PDGF-BB)および塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)などの再生材料または医薬品が使用され, 歯根膜中の間葉系幹細胞はセメント質, 歯槽骨および歯根膜に分化・誘導される. FGF-2は骨関連転写因子であるラント関連転写因子2(Runx2)...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 64; no. 2; pp. 51 - 57
Main Authors 高井, 英樹, 小方, 賴昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 30.06.2022
日本歯周病学会
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.64.51

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Summary:「はじめに」歯周組織は, 歯肉, 歯根膜, セメント質および歯槽骨によって構成される. 歯根膜に存在する間葉系幹細胞は, セメント質, 歯槽骨および歯根膜の再生に関与している. 歯周炎によって破壊された歯周組織を再生するために, guided tissue regeneration(GTR)膜, エナメルマトリックスタンパク質, 血小板由来成長因子BB(PDGF-BB)および塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)などの再生材料または医薬品が使用され, 歯根膜中の間葉系幹細胞はセメント質, 歯槽骨および歯根膜に分化・誘導される. FGF-2は骨関連転写因子であるラント関連転写因子2(Runx2)の転写を増加させ, 骨芽細胞の分化と軟骨細胞の成熟を誘導する. 本稿では, 様々な間葉系細胞で優位に発現する転写因子に作用するmiRNAについて, 我々が行った歯周組織構成細胞に高発現する転写因子に関する研究結果を含めて紹介したい. 「転写因子調節による細胞分化・誘導」転写因子はDNAに特異的に結合するタンパク質の一群であり, RNAポリメラーゼ(RNA合成酵素)による転写を促進または抑制する.
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.64.51