輸血用検体の採血前と血液製剤の輸血前における患者照合に関する多施設アンケート調査

採血前や輸血前での患者照合システムの運用状況と,システムの院内採用後に発生した患者誤認のインシデントおよびアクシデントに関し,多施設アンケート調査を実施した.2020年10月から2022年3月までに26施設より調査票が提出された.採血前は15施設(58%),輸血前は25施設(96%)で患者照合システムが採用されていた.手術室,救急外来,血管造影室等では,システムが導入できていない施設が報告された.システム採用後のインシデントおよびアクシデントは12施設より70例が報告され,うち52例(74%)はシステムを導入している場所で発生した.内容は,別患者から採血した(17例),患者照合せずに輸血した(...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 69; no. 5; pp. 580 - 588
Main Authors 小野, 孝明, 猪野, 楓, 根本, 直紀, 榛葉, 隆人, 大石, 美月, 古牧, 宏啓, 桑原, 碧, 芝田, 大樹, 杉村, 明璃, 石塚, 恵子, 山田, 千亜希, 高木, 唯衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 05.10.2023
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.69.580

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Summary:採血前や輸血前での患者照合システムの運用状況と,システムの院内採用後に発生した患者誤認のインシデントおよびアクシデントに関し,多施設アンケート調査を実施した.2020年10月から2022年3月までに26施設より調査票が提出された.採血前は15施設(58%),輸血前は25施設(96%)で患者照合システムが採用されていた.手術室,救急外来,血管造影室等では,システムが導入できていない施設が報告された.システム採用後のインシデントおよびアクシデントは12施設より70例が報告され,うち52例(74%)はシステムを導入している場所で発生した.内容は,別患者から採血した(17例),患者照合せずに輸血した(8例),別患者の血液製剤を輸血した(7例)等であった.52例中41例(79%)では,事例発生時に患者照合システムが適切に使用されていなかった.理由は,患者照合の必要性を知らなかった(9例),患者照合を忘れた(5例),緊急対応のため患者照合をスキップした(3例)等であった.患者照合システムの導入を推進し,確実に患者照合してもらうため,システムの有用性を輸血部門が積極的に臨床側に発信する必要がある.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.69.580