アナフィラキシーを発症した骨髄移植患者血液と当該血小板残余試料を用いた好塩基球活性化試験および受身好塩基球活性化試験の継時的検討

好塩基球活性化試験(BAT)は特異的IgE(sIgE)依存性アレルギーの診断目的で確立され,近年アレルギー性輸血副作用(ATR)検査に利用されている.さらに骨髄抑制期の患者のための検査法として受身BAT(pi-BAT)も検討されている.我々は,骨髄移植(BMT)後の血小板輸血で重篤なATRを発症した患者を経験した.同患者検体と当該製剤残余を用いたBAT及びpi-BATはいずれも陽性を示した.さらに,本研究ではBMT前後2年間の患者血漿と全血を用いてsIgEの由来解明を試みた.BATは,BMT後34日と106日は陽性,573日は陰性だった.pi-BATは,BMTの146日前は陰性,BMTの34日...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 64; no. 5; pp. 649 - 654
Main Authors 池田, 宇次, 平山, 文也, 保井, 一太, 式(岡村), 郁恵, 松山, 宣樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 25.10.2018
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.64.649

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Summary:好塩基球活性化試験(BAT)は特異的IgE(sIgE)依存性アレルギーの診断目的で確立され,近年アレルギー性輸血副作用(ATR)検査に利用されている.さらに骨髄抑制期の患者のための検査法として受身BAT(pi-BAT)も検討されている.我々は,骨髄移植(BMT)後の血小板輸血で重篤なATRを発症した患者を経験した.同患者検体と当該製剤残余を用いたBAT及びpi-BATはいずれも陽性を示した.さらに,本研究ではBMT前後2年間の患者血漿と全血を用いてsIgEの由来解明を試みた.BATは,BMT後34日と106日は陽性,573日は陰性だった.pi-BATは,BMTの146日前は陰性,BMTの34日後は陽性で,106日後と573日後は陰性だった.本事例の結果として,ATRに関与したsIgEの由来は,BMT後にドナー由来の造血幹細胞が分化し,sIgEが産生された可能性が示唆されるが,BATとpi-BATの結果の不一致から,骨髄移植時に輸注されたドナー由来細胞が一時的にsIgEを産生した可能性も否定できない.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.64.649