臍帯血移植時のアナフィラキシー対策として洗浄臍帯血が有効であった1例

治療抵抗性急性骨髄性白血病(AML)の30代女性患者に対して初回の臍帯血移植(CBT,有核細胞数1.72×107個/kg)を行ったところ,輸注時に呼吸困難,SpO2低下,血圧低下を伴うアナフィラキシーを認めた.直ちに輸注を中止し,エピネフリン筋注+補液で対処した.輸注は80%以上が完了していたため再開しなかった.移植後25日目に生着を確認した.その後AMLの再発を認め,移植後18カ月の時点で2回目のCBTを検討,実施にあたりアナフィラキシー予防として臍帯血の洗浄を実施した.有核細胞数3.20×107個/kgの臍帯血を37℃の恒温槽で急速解凍後,アルブミン・生食加デキストラン(ALB/D)液を急...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 69; no. 5; pp. 610 - 614
Main Authors 田矢, 祐規, 高橋, 里奈, 櫻井, 梨恵, 吉井, 真司, 府川, 正儀, 長村, 登紀子, 関, 紀子, 海堀, いず美, 髙橋, 敦子, 牧野, 茂義, 芳野, 達弘, 水村, 真也, 森, 有紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 05.10.2023
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.69.610

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Summary:治療抵抗性急性骨髄性白血病(AML)の30代女性患者に対して初回の臍帯血移植(CBT,有核細胞数1.72×107個/kg)を行ったところ,輸注時に呼吸困難,SpO2低下,血圧低下を伴うアナフィラキシーを認めた.直ちに輸注を中止し,エピネフリン筋注+補液で対処した.輸注は80%以上が完了していたため再開しなかった.移植後25日目に生着を確認した.その後AMLの再発を認め,移植後18カ月の時点で2回目のCBTを検討,実施にあたりアナフィラキシー予防として臍帯血の洗浄を実施した.有核細胞数3.20×107個/kgの臍帯血を37℃の恒温槽で急速解凍後,アルブミン・生食加デキストラン(ALB/D)液を急激な浸透圧変化を避けるため低温で緩徐に混和した.冷却遠心後に上清を捨て,再びALB/D液を加え最終容量50mlとした.洗浄後の生細胞率は89.8%,有核細胞回収率は80.5%であった.明らかな副反応は認めず移植後13日目に生着,91日目に退院となった.臍帯血の洗浄は,輸注時のアナフィラキシー予防として,有核細胞回収率及び生細胞率共に良好かつ生着も担保され得る有用な手段であることが示唆された.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.69.610