周産期からの計画的治療によって安全に手術を施行できた仙尾部奇形腫の1例

症例は生後7日,女児.在胎28週0日に仙尾部奇形腫を疑われ当院へ紹介された.胎児水腫等の兆候はなく経過し,在胎37週4日に帝王切開で出生した.出生時体重3,412 g,Apgar score 8/9点であった.腹部超音波検査にて長径100 mmの腫瘍を認めたが,流入血管に関しては評価困難であった.その後も全身状態が落ち着いていたため造影CTを施行し,仙骨正中動脈が栄養血管と確認できた.日齢7に待機的に手術を施行した.手術は仰臥位,下腹部横切開にて開腹し,術前造影CT検査で腫瘍の栄養血管と指摘されていた仙骨正中動脈及び伴走する静脈を先行して結紮切離した.腫瘍を骨盤腔内から可及的に剥離したのちにジ...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 74 - 77
Main Authors 石川, 暢己, 服部, 昌和, 安部, 孝俊, 中林, 和庸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.02.2019
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.55.1_74

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Summary:症例は生後7日,女児.在胎28週0日に仙尾部奇形腫を疑われ当院へ紹介された.胎児水腫等の兆候はなく経過し,在胎37週4日に帝王切開で出生した.出生時体重3,412 g,Apgar score 8/9点であった.腹部超音波検査にて長径100 mmの腫瘍を認めたが,流入血管に関しては評価困難であった.その後も全身状態が落ち着いていたため造影CTを施行し,仙骨正中動脈が栄養血管と確認できた.日齢7に待機的に手術を施行した.手術は仰臥位,下腹部横切開にて開腹し,術前造影CT検査で腫瘍の栄養血管と指摘されていた仙骨正中動脈及び伴走する静脈を先行して結紮切離した.腫瘍を骨盤腔内から可及的に剥離したのちにジャックナイフ体位に変更し,腫瘍を尾骨周囲より剥離し摘出した.周術期に輸血は施行しなかった.術後1年10か月経過した時点で再発は認めていない.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.55.1_74