急性期から疼痛専門医による治療を受けた帯状疱疹痛患者の神経障害性疼痛にみられる要素の検討

「はじめに」 帯状疱疹に伴って生じる痛みは, 侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の病態が混在しており, 病期によってどちらが主体であるかが異なる. 初期は, 皮膚炎と神経炎の合併であるため侵害受容性疼痛の要素が多い. その後, 皮膚と神経の炎症が治まり, 神経が障害を受けると帯状疱疹後神経痛へと移行する. つまり, 発症から時間が経過すると侵害受容性疼痛の要素が減り, 神経障害性疼痛の要素が多くなると考えられている. しかし, その神経障害性疼痛へ移行する時期や病期によって両者の要素が占める割合は不明であるため, 痛みの性状の把握は, 治療の1指標にもつながるのではないかと考えた. そこで, われ...

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Published inPAIN RESEARCH Vol. 31; no. 3; pp. 156 - 165
Main Authors 古賀, 理恵, 稲田, 英一, 山口, 敬介, 井関, 雅子, 石川, 理恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 30.09.2016
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ISSN0915-8588
2187-4697
DOI10.11154/pain.31.156

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Summary:「はじめに」 帯状疱疹に伴って生じる痛みは, 侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の病態が混在しており, 病期によってどちらが主体であるかが異なる. 初期は, 皮膚炎と神経炎の合併であるため侵害受容性疼痛の要素が多い. その後, 皮膚と神経の炎症が治まり, 神経が障害を受けると帯状疱疹後神経痛へと移行する. つまり, 発症から時間が経過すると侵害受容性疼痛の要素が減り, 神経障害性疼痛の要素が多くなると考えられている. しかし, その神経障害性疼痛へ移行する時期や病期によって両者の要素が占める割合は不明であるため, 痛みの性状の把握は, 治療の1指標にもつながるのではないかと考えた. そこで, われわれは以前に, 急性期(発症1ヵ月未満), 亜急性期(1~3ヵ月), 慢性期(4ヵ月目以降)のそれぞれの病期に当科を受診した帯状疱疹関連痛患者113名を対象に, 神経障害性疼痛スクリーニング質問票(以下Japan-Q)を用いて, 神経障害性疼痛にみられる要素とVisual Analogue Scale (VAS)について, 後ろ向き調査を行った.
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.31.156