膵癌術後上行結腸転移の1切除例

症例は73歳,男性で膵尾部癌に対し膵体尾部切除術(D2郭清)を行った.術後補助化学療法S1を半年間内服した.膵切除後2年10か月で,CEA,CA19-9の上昇とCT検査で肝浸潤を伴う上行結腸腫瘍を指摘された.下部内視鏡検査で上行結腸の壁肥厚と狭窄を認めたが,粘膜面の変化がなく,生検では悪性所見を得られなかった.膵癌上行結腸転移または原発性上行結腸癌の術前診断で,右半結腸切除術(D2郭清,リンパ節No.223はサンプリング),肝部分切除術を行った.病理検査で粘膜下層から漿膜下層を中心に前回膵癌に類似する中分化型腺癌像を認め,CK7陽性CK20陰性であったことから膵癌上行結腸転移と診断した.膵切除...

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Published in膵臓 Vol. 37; no. 2; pp. 96 - 103
Main Authors 桑原, 麻衣, 多月, 卓, 山本, 森太郎, 稻留, 直樹, 谷口, 正次, 山下, 篤, 田中, 智章, 鶴田, 遊野, 古賀, 倫太郎, 黒木, 直美, 指宿, 一彦, 後藤, 崇, 菅瀬, 隆信, 北條, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 28.04.2022
日本膵臓学会
Subjects
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.37.96

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Summary:症例は73歳,男性で膵尾部癌に対し膵体尾部切除術(D2郭清)を行った.術後補助化学療法S1を半年間内服した.膵切除後2年10か月で,CEA,CA19-9の上昇とCT検査で肝浸潤を伴う上行結腸腫瘍を指摘された.下部内視鏡検査で上行結腸の壁肥厚と狭窄を認めたが,粘膜面の変化がなく,生検では悪性所見を得られなかった.膵癌上行結腸転移または原発性上行結腸癌の術前診断で,右半結腸切除術(D2郭清,リンパ節No.223はサンプリング),肝部分切除術を行った.病理検査で粘膜下層から漿膜下層を中心に前回膵癌に類似する中分化型腺癌像を認め,CK7陽性CK20陰性であったことから膵癌上行結腸転移と診断した.膵切除後5年7か月(大腸切除後2年9か月)時点で,無再発生存中である.膵癌大腸転移は非常に稀であり,診断には免疫染色検査CK7とCK20が有用である.膵癌大腸転移では大腸の所属リンパ節に57%と高率に転移を認めた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.37.96