各種保冷庫における赤血球製剤保管場所による温度変化についての検討

血液製剤の保管に必要な保冷庫は,自記温度記録計付きおよび外部警報付きの保冷庫である.小規模医療施設や在宅治療を行うクリニックなどでは,血液製剤の一時保管として家庭用冷蔵庫を使用している施設が散見されており,血液製剤保管管理マニュアルに適さない状態で使用されている.そこで,血液製剤が安全に保管できるかを検証するために,各種保冷庫で模擬血液製剤を用いて保管中の袋内部温度の調査を行った.検討は,日常使用の条件下で実施した.各種保冷庫内の模擬血液の袋内部温度は,血液専用保冷庫で最低温度3.4℃,最高温度で5.7℃であった.4℃設定の薬品保冷庫では最低温度1.0℃,最高温度3.9℃であった.「強」設定の...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 69; no. 3; pp. 448 - 456
Main Authors 松本, 雅則, 奥田, 誠, 遠藤, 輝夫, 田中, 朝志, 岡崎, 仁, 松下, 正, 松浦, 秀哲, 舘野, 友紀, 紀野, 修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 26.06.2023
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.69.448

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Summary:血液製剤の保管に必要な保冷庫は,自記温度記録計付きおよび外部警報付きの保冷庫である.小規模医療施設や在宅治療を行うクリニックなどでは,血液製剤の一時保管として家庭用冷蔵庫を使用している施設が散見されており,血液製剤保管管理マニュアルに適さない状態で使用されている.そこで,血液製剤が安全に保管できるかを検証するために,各種保冷庫で模擬血液製剤を用いて保管中の袋内部温度の調査を行った.検討は,日常使用の条件下で実施した.各種保冷庫内の模擬血液の袋内部温度は,血液専用保冷庫で最低温度3.4℃,最高温度で5.7℃であった.4℃設定の薬品保冷庫では最低温度1.0℃,最高温度3.9℃であった.「強」設定の家庭用冷蔵庫では,最低温度-4.8℃,最高温度10.0℃であった.血液専用保冷庫以外でやむを得ず一時的に輸血用血液製剤を保管する場合は,過冷却を防止し庫内温度の安定した位置で保管するなどの策を取ること,さらに,経時的な記録が可能な自記温度記録計や警報装置を備えておくことが必要と考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.69.448