がん化学療法によるB型肝炎再活性化予防のための電子カルテ連動支援システムを用いたPBPMの構築

「緒言」従来, hepatitis B surface(HBs)抗原が陰性化しHBs抗体やhepatitis B core(HBc)抗体が陽性となった既往感染例では, B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus: HBV)はすでに排除され, 臨床的には治癒の状態と考えられてきた. しかし, 既往感染例であっても肝細胞の核内にHBV DNAがわずかに残存しており, 強力な免疫抑制・化学療法を行うことでHBVが再活性化し重症肝炎が惹起されることが明らかとなった. その後, 血液内科領域において抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ投与症例において, HBs抗原陰性例からB型肝炎再...

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Published in医療薬学 Vol. 48; no. 1; pp. 9 - 19
Main Authors 流石, 智恵子, 石橋, 正祥, 折井, 孝男, 梅谷, 直亨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.01.2022
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.48.9

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Summary:「緒言」従来, hepatitis B surface(HBs)抗原が陰性化しHBs抗体やhepatitis B core(HBc)抗体が陽性となった既往感染例では, B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus: HBV)はすでに排除され, 臨床的には治癒の状態と考えられてきた. しかし, 既往感染例であっても肝細胞の核内にHBV DNAがわずかに残存しており, 強力な免疫抑制・化学療法を行うことでHBVが再活性化し重症肝炎が惹起されることが明らかとなった. その後, 血液内科領域において抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ投与症例において, HBs抗原陰性例からB型肝炎再活性化(de novo B型肝炎)が起こることが報告された. このような経緯を経て, がん化学療法によるHBV再活性化が重要な問題として取り上げられるようになり, 厚生労働省研究班によって2009年1月に「免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン(GL)」が作成され, 現在は, 日本肝臓学会編「B型肝炎治療ガイドライン(第3.4版)2021年5月」内に明記されている(https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_b.html, 2021年6月6日).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.48.9