深頸部膿瘍における在院期間延長因子の検討

深頸部感染症は抗菌薬の発達に伴い減少傾向にあるものの, 適切な対応を行わないと致死的な状況に陥る疾患である. 今回, 関西医科大学附属病院において頸部外切開, もしくはそれに準ずる穿刺排膿を施行した深頸部膿瘍60例を対象に, 在院期間を重症度の指標として用い, 在院期間を延長させた因子について検討した. その結果, 単変量ロジスティック回帰分析では, 気管切開術の施行の有無, 排膿時の CRP 値 (以下 CRP 値と示す), 膿瘍の舌骨下進展の有無, 嫌気性菌の検出の有無が有意な因子として検出された. さらに施行した多変量ロジスティック回帰分析では CRP 値が独立した因子として検出された....

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 124; no. 10; pp. 1385 - 1391
Main Authors 藤澤, 琢郎, 濱田, 聡子, 岩井, 大, 黒田, 一慶, 鈴木, 健介, 日高, 浩史, 阪上, 智史, 八木, 正夫, 宇都宮, 敏生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.10.2021
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.124.10_1385

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Summary:深頸部感染症は抗菌薬の発達に伴い減少傾向にあるものの, 適切な対応を行わないと致死的な状況に陥る疾患である. 今回, 関西医科大学附属病院において頸部外切開, もしくはそれに準ずる穿刺排膿を施行した深頸部膿瘍60例を対象に, 在院期間を重症度の指標として用い, 在院期間を延長させた因子について検討した. その結果, 単変量ロジスティック回帰分析では, 気管切開術の施行の有無, 排膿時の CRP 値 (以下 CRP 値と示す), 膿瘍の舌骨下進展の有無, 嫌気性菌の検出の有無が有意な因子として検出された. さらに施行した多変量ロジスティック回帰分析では CRP 値が独立した因子として検出された. 従って, 早期から CRP を含めたこれらの因子に着目し, 重症化に備えた治療が重要である.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.124.10_1385