試作覆髄剤の象牙質接着強さとカルシウムイオン徐放について

接着性を有する覆髄剤の開発を目的として,Mineral trioxide aggregate (MTA) と親水性モノマーで重合硬化させる覆髄剤を試作した.MTA とモノマーの比率が異なる2種の試作覆髄剤および市販の覆髄剤を実験に供した.材料の基本性能となる象牙質と試作覆髄剤のせん断接着強さ,象牙質辺縁封鎖性および試作覆髄剤からのカルシウムイオン徐放について検討を行った.その結果,本研究で試作した覆髄剤は,市販の覆髄剤よりも良好な象牙質辺縁封鎖性を示し,接着強さも高かった.またモノマーとMTAの配合比が異なる試作覆髄剤間での比較では,相対的にモノマーの比率が高い方が接着強さは高く,MTAの比率...

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Published in日本再生歯科医学会誌 Vol. 19; no. 1; pp. 1 - 9
Main Authors 西谷登美子, 達山祥子, 高裕子, 勝俣愛一郎, 星加知宏, 西谷佳浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本再生歯科医学会 2021
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ISSN1348-9615
1880-0815
DOI10.11223/jard.19.1

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Summary:接着性を有する覆髄剤の開発を目的として,Mineral trioxide aggregate (MTA) と親水性モノマーで重合硬化させる覆髄剤を試作した.MTA とモノマーの比率が異なる2種の試作覆髄剤および市販の覆髄剤を実験に供した.材料の基本性能となる象牙質と試作覆髄剤のせん断接着強さ,象牙質辺縁封鎖性および試作覆髄剤からのカルシウムイオン徐放について検討を行った.その結果,本研究で試作した覆髄剤は,市販の覆髄剤よりも良好な象牙質辺縁封鎖性を示し,接着強さも高かった.またモノマーとMTAの配合比が異なる試作覆髄剤間での比較では,相対的にモノマーの比率が高い方が接着強さは高く,MTAの比率が高い覆髄剤では象牙質辺縁封鎖性に優れ,材料からのカルシウムイオン徐放量が多くなる可能性が示唆された.MTAとモノマーの配合比率が覆髄剤の基本性能に影響する可能性があることから,今後さらに,象牙質辺縁封鎖性に優れた高い接着強さが得られる配合比率について検討を行う予定である.
ISSN:1348-9615
1880-0815
DOI:10.11223/jard.19.1