Wide QRS頻拍を生じた家族性肥大型心筋症の1例

39歳,男性.主訴:動悸.既往歴:胸腺腫.家族歴:母に拡張相肥大型心筋症.通勤中に突然の動悸を自覚し,救急受診.心電図上心拍数170拍/分のwide QRS頻拍を認め,直流除細動にて洞調律復帰.心電図上PQ短縮,両室肥大を認めたが,デルタ波の認識は困難であった.頻拍の精査目的に入院.心エコ~,MRIにより非閉塞性肥大型心筋症と診断.電気生理学的検査にて左室前側壁の副伝導路を認め,逆伝導は房室結節のみであった.二連発心室早期刺激にて副伝導路順行,房室結節を逆行する逆方向性房室回帰性頻拍が誘発され,救急受診時の頻拍と同一と診断した.左室前側壁と側壁に存在する2本の副伝導路をアブレーションし,以後3...

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Published in心電図 Vol. 34; no. 1; pp. 11 - 18
Main Authors 山口, 真一郎, 白石, 裕一, 中村, 猛, 松室, 明義, 白山, 武司, 山野, 哲弘, 濱岡, 哲郎, 畔柳, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2014
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.34.11

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Summary:39歳,男性.主訴:動悸.既往歴:胸腺腫.家族歴:母に拡張相肥大型心筋症.通勤中に突然の動悸を自覚し,救急受診.心電図上心拍数170拍/分のwide QRS頻拍を認め,直流除細動にて洞調律復帰.心電図上PQ短縮,両室肥大を認めたが,デルタ波の認識は困難であった.頻拍の精査目的に入院.心エコ~,MRIにより非閉塞性肥大型心筋症と診断.電気生理学的検査にて左室前側壁の副伝導路を認め,逆伝導は房室結節のみであった.二連発心室早期刺激にて副伝導路順行,房室結節を逆行する逆方向性房室回帰性頻拍が誘発され,救急受診時の頻拍と同一と診断した.左室前側壁と側壁に存在する2本の副伝導路をアブレーションし,以後3年間頻拍は再発していない.肥大型心筋症におけるwide QRS頻拍では,頻拍停止後も心肥大所見のためデルタ波の認識が困難な例がある.逆方向性房室回帰性頻拍は見落としやすいと考えられるため,注意を要する.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.34.11