動眼神経麻痺を呈した内頚動脈後交通動脈瘤の1例─病理組織学的検討

「はじめに」 脳神経外科領域では, 片側性の動眼神経麻痺で発症し, 脳動脈瘤が発見される症例をしばしば経験する. そうした症例に対して, 外科的治療だけでなく, コイル塞栓術による血管内治療も行われている. しかしながら, 脳動脈瘤に合併した動眼神経麻痺の発生機序に関しては, いまだ十分に解明されておらず, 特に病理組織学的に検討した報告はほとんどない. 今回われわれは, 病理学的に偽性動脈瘤を確認した動眼神経麻痺で発症した内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤(以下, Pcom An)の1例を報告し, その機序について検討した. 「症例」 患者: 77歳, 女性. 主訴:頭痛, 複視. 既往歴:糖...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 43; no. 1; pp. 45 - 48
Main Authors 細田, 哲也, 吉田, 一彦, 菊田, 健一郎, 竹内, 浩明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2015
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.43.45

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Summary:「はじめに」 脳神経外科領域では, 片側性の動眼神経麻痺で発症し, 脳動脈瘤が発見される症例をしばしば経験する. そうした症例に対して, 外科的治療だけでなく, コイル塞栓術による血管内治療も行われている. しかしながら, 脳動脈瘤に合併した動眼神経麻痺の発生機序に関しては, いまだ十分に解明されておらず, 特に病理組織学的に検討した報告はほとんどない. 今回われわれは, 病理学的に偽性動脈瘤を確認した動眼神経麻痺で発症した内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤(以下, Pcom An)の1例を報告し, その機序について検討した. 「症例」 患者: 77歳, 女性. 主訴:頭痛, 複視. 既往歴:糖尿病, 高血圧症. 現病歴:受診2日前に頭痛と複視を自覚, 1日前に左眼瞼下垂出現, 症状改善なく, 当院救急部受診し, 当科入院となった. 入院時所見:左動眼神経の完全麻痺(左眼瞼下垂, 眼球外転位で上下転, 内転不能, 瞳孔散大, 対光反射消失)を認めた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.43.45