椎骨動脈解離に対する外科治療─再出血予防と穿通枝温存を目指したmicroneurosurgery

「はじめに」解離性脳動脈瘤は椎骨動脈系に多く, その自然歴に不明な点が存在し, 病理学所見に基づいた治療適応やくも膜下出血発症例を後方視的に解析した報告もあるが, 治療方針を決定するうえで苦慮することも少なくない. 治療対象となるのは, くも膜下出血, 動脈瘤増大, 症候性例であり, その治療方法も病態に応じて検討が必要である. 解離性動脈瘤を完全に閉塞させることがいちばんの目的であり, その治療過程で再出血および増大, 脳神経麻痺, 椎骨動脈穿通枝障害が予後規定因子と考えられる. 近年, 血管内手術の発展により本領域治療の発展がなされてきているが, 血行再建術の必要性などの観点からも開頭術が...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 44; no. 1; pp. 31 - 36
Main Authors 中川, 一郎, 弘中, 康雄, 西村, 文彦, 本山, 靖, 中瀬, 裕之, 松田, 良介, 朴, 永銖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2016
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.44.31

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Summary:「はじめに」解離性脳動脈瘤は椎骨動脈系に多く, その自然歴に不明な点が存在し, 病理学所見に基づいた治療適応やくも膜下出血発症例を後方視的に解析した報告もあるが, 治療方針を決定するうえで苦慮することも少なくない. 治療対象となるのは, くも膜下出血, 動脈瘤増大, 症候性例であり, その治療方法も病態に応じて検討が必要である. 解離性動脈瘤を完全に閉塞させることがいちばんの目的であり, その治療過程で再出血および増大, 脳神経麻痺, 椎骨動脈穿通枝障害が予後規定因子と考えられる. 近年, 血管内手術の発展により本領域治療の発展がなされてきているが, 血行再建術の必要性などの観点からも開頭術が不要であるとの見解はない. そこで, clipping firstで行ってきた当施設での椎骨動脈解離性動脈瘤における治療成績に関して, 再出血, 瘤の根治性, 穿通枝温存の観点から結果を提示し, 血管内治療を含めた文献的考察を加え報告する.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.44.31