幽門側胃管部分切除を施行した食道癌術後早期胃管癌の1例

症例は75歳男性.3年前に食道癌に対して食道亜全摘,後縦隔胃管再建が行われていた.今回,経過観察目的に上部消化管内視鏡検査を行ったところ幽門部の小弯側に早期胃癌0II・bを発見し深達度は粘膜内癌と判断した.また生検標本で低分化型腺癌と診断した.内視鏡的粘膜下層剥離術は困難であり外科的切除の方針とした.幽門側胃管部分切除を行った.またインドシアニングリーン蛍光法を用いて右胃動脈に沿ったリンパ節の生検を行い転移は認めなかった.術後肺炎の合併があったが速やかに軽快して術後29日に軽快退院した.病理診断においても低分化腺癌ではあるが粘膜内癌であり術後3年間であるが再発を認めていない.後縦隔再建の胃管癌...

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Published in山口医学 Vol. 67; no. 1; pp. 37 - 41
Main Authors 重田, 匡利, 岡, 一斉, 山本, 直宗, 深光, 岳, 須藤, 学拓, 南, 佳秀, 尼崎, 陽太郎, 植木, 幸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 09.02.2018
Subjects
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.67.37

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Summary:症例は75歳男性.3年前に食道癌に対して食道亜全摘,後縦隔胃管再建が行われていた.今回,経過観察目的に上部消化管内視鏡検査を行ったところ幽門部の小弯側に早期胃癌0II・bを発見し深達度は粘膜内癌と判断した.また生検標本で低分化型腺癌と診断した.内視鏡的粘膜下層剥離術は困難であり外科的切除の方針とした.幽門側胃管部分切除を行った.またインドシアニングリーン蛍光法を用いて右胃動脈に沿ったリンパ節の生検を行い転移は認めなかった.術後肺炎の合併があったが速やかに軽快して術後29日に軽快退院した.病理診断においても低分化腺癌ではあるが粘膜内癌であり術後3年間であるが再発を認めていない.後縦隔再建の胃管癌の外科的切除は困難とされている.しかし本症例では病変が幽門近傍の早期胃管癌でありその結果も良好であった.胃管癌に対する治療は様々な方法が行われていると思われるが幽門側胃管部分切除およびリンパ節生検は幽門部の早期の胃管癌に考慮されると思われるので報告した.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.67.37