デスクワーカーの座位行動中における運動プログラムの構築
目的:座位行動の増加に伴う運動不足による心身の健康への影響が注目されている.本研究は,デスクワーカーの座位行動中における運動プログラムを構築し,短期効果として身体の痛みやだるさの軽減および主観的健康度の向上について検証することを目的とした.対象と方法:片脚立ち(片側1分),スクワット(1分),ストレッチ(1分),閉眼腹式深呼吸(1分)の4種類の運動から3種類を組み合わせた3分程度の運動プログラムを構築した.運動プログラムは,A大学職員94人を対象に,3種の運動を1日2回(午前・午後),2か月(41日)間(3種×午前・午後の2回×41日間 = 246回)推奨した.また,運動プログラムを実施しやす...
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Published in | 産業衛生学雑誌 Vol. 66; no. 6; pp. 292 - 302 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本産業衛生学会
20.11.2024
日本産業衛生学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1341-0725 1349-533X |
DOI | 10.1539/sangyoeisei.2024-011-B |
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Summary: | 目的:座位行動の増加に伴う運動不足による心身の健康への影響が注目されている.本研究は,デスクワーカーの座位行動中における運動プログラムを構築し,短期効果として身体の痛みやだるさの軽減および主観的健康度の向上について検証することを目的とした.対象と方法:片脚立ち(片側1分),スクワット(1分),ストレッチ(1分),閉眼腹式深呼吸(1分)の4種類の運動から3種類を組み合わせた3分程度の運動プログラムを構築した.運動プログラムは,A大学職員94人を対象に,3種の運動を1日2回(午前・午後),2か月(41日)間(3種×午前・午後の2回×41日間 = 246回)推奨した.また,運動プログラムを実施しやすくするために,日本で広く認知されているラジオ体操(第1)を午前・午後の始業前に推奨した.実施前後に属性,勤務状況,身体的状況,精神的状況について,実施後に運動プログラムの評価を尋ねた.結果:87人から運動日誌,質問紙の回答が得られた.運動プログラム(4種の運動)の実施回数の中央値は83(四分位範囲:16–128)回であった.中央値から対象者を2群に分けて比較したところ,腰の痛みとだるさの程度,POMS2で捉えた友好の得点に交互作用を認め,実施量の高い群でいずれも改善がみられた.腰痛が11段階中2点以上軽減した群としなかった群で,ROC曲線を用いて運動プログラムの実施回数との関係をみると,カットオフ値は70回であり,41日間で70回以上実施することで腰痛を軽減できる可能性が示唆された.本研究の運動プログラムを継続して実施するためには,隙間時間の活用,モチベーションの維持,職場の一体感の形成の必要性が示唆された.結論:デスクワーカーの座位行動中における運動プログラムを構築し,午前・午後の2回,2か月間実施した結果,腰の痛みとだるさの程度とPOMS2で捉えた友好の得点に改善を認めた. |
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ISSN: | 1341-0725 1349-533X |
DOI: | 10.1539/sangyoeisei.2024-011-B |