シャントを使用した頚動脈内膜剝離術の手術手技と治療成績

頚動脈内膜剝離術(CEA)では,クロスクランピングによる脳虚血のリスクがあり,その回避にシャントの使用がある.われわれの施設では,シャントの使用を前提とした統一手技でCEAを施行している.今回,その手術手技のポイントと治療成績を述べる.2013年4月から2020年3月の間に当院でCEAを施行した連続186例を対象とし,全例にシャントの使用を試みた.クロスクランピングによる脳虚血を,術中SEPの50%以上の低下と術後の症候性脳梗塞の発症で評価した.シャントの使用困難例は4例(2.2%),シャントシステム装着による平均遮断時間は4.4分,抜去-再灌流時間は7.3分であった.術中のSEP低下を15例...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 50; no. 6; pp. 454 - 460
Main Authors 岡田, 芳和, 山口, 浩司, 丹羽, 章浩, 江口, 盛一郎, 町田, 亘, 船津, 尭之, 野中, 拓, 石川, 友美, 石川, 達也, 川俣, 貴一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2022
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.50.454

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Summary:頚動脈内膜剝離術(CEA)では,クロスクランピングによる脳虚血のリスクがあり,その回避にシャントの使用がある.われわれの施設では,シャントの使用を前提とした統一手技でCEAを施行している.今回,その手術手技のポイントと治療成績を述べる.2013年4月から2020年3月の間に当院でCEAを施行した連続186例を対象とし,全例にシャントの使用を試みた.クロスクランピングによる脳虚血を,術中SEPの50%以上の低下と術後の症候性脳梗塞の発症で評価した.シャントの使用困難例は4例(2.2%),シャントシステム装着による平均遮断時間は4.4分,抜去-再灌流時間は7.3分であった.術中のSEP低下を15例(8.1%)に認めたが,術後脳梗塞を生じたのは1例(0.5%)であった.シャントの挿入による明らかな合併症は確認されなかった.シャントの使用によるCEAは,手術手技のポイントを習得すれば,安全で確実な方法である.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.50.454