椎骨動脈解離閉塞後,側副血行路に生じた破裂脳動脈瘤の1例

椎骨動脈閉塞慢性期に,椎骨動脈からPICAへの側副血行路にflow related aneurysmを生じ,くも膜下出血をきたした1例を経験したので報告する.症例は51歳,男性.X年突然の左後頚部痛,めまいが出現し,救急受診.受診時,AICA症候群を認め,画像検査にて左椎骨動脈解離による閉塞,左小脳半球脳梗塞と診断した.抗血小板薬にて保存的加療を行い,左聴力低下のみ残存し,自宅退院となった.3年間の外来フォロー中のMRIでは,左椎骨動脈閉塞の再開通は認めなかった.X+3年,突然の嘔気,嘔吐,めまい,後頭部痛が出現し,JCS 200の状態で当院救急搬送された.頭部CTでくも膜下出血を認め,脳血管...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 50; no. 4; pp. 291 - 295
Main Authors 田中, 優子, 松本, 浩明, 西山, 徹, 朴, 憲秀, 中條, 敬人, 梅㟢, 有砂, 寺田, 友昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2022
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.50.291

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Summary:椎骨動脈閉塞慢性期に,椎骨動脈からPICAへの側副血行路にflow related aneurysmを生じ,くも膜下出血をきたした1例を経験したので報告する.症例は51歳,男性.X年突然の左後頚部痛,めまいが出現し,救急受診.受診時,AICA症候群を認め,画像検査にて左椎骨動脈解離による閉塞,左小脳半球脳梗塞と診断した.抗血小板薬にて保存的加療を行い,左聴力低下のみ残存し,自宅退院となった.3年間の外来フォロー中のMRIでは,左椎骨動脈閉塞の再開通は認めなかった.X+3年,突然の嘔気,嘔吐,めまい,後頭部痛が出現し,JCS 200の状態で当院救急搬送された.頭部CTでくも膜下出血を認め,脳血管撮影では,左椎骨動脈閉塞,V3 portionからPICAへ吻合する蛇行した側副血行路を認め,その途中に3mm程度の動脈瘤を認め,同部位の破裂と診断した.開頭トラッピング術を行い,術後経過良好にて,第66病日にmRS 2で転院となった.椎骨動脈解離閉塞後,このようなまれな合併症を生じることがあるので慎重な経過観察が必要である.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.50.291