多発結節影を呈したDiaminodiphenylsulfoneによる薬剤性好酸球性肺炎の1例

背景.Diaminodiphenylsulfone(DDS)は天疱瘡やハンセン病の治療薬であるが,副作用として薬剤性好酸球性肺炎の報告は稀である.症例.34歳,女性.天疱瘡に対してステロイド外用薬,DDSによる治療が開始されたが,約2週後に39℃の発熱と呼吸困難が出現し受診した.胸部単純X線写真および胸部CTで両肺の多発結節影を認め,気管支鏡検査を施行したところ,気管支肺胞洗浄液中の好酸球増多と,病理像では気腔内の著明な器質化と好酸球を主体とする炎症細胞の浸潤を認めた.臨床経過や病理像から好酸球性肺炎と診断し,ステロイド内服治療で速やかに改善が得られた.DDSに対する薬剤リンパ球刺激試験が陽性...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 1; pp. 7 - 11
Main Authors 渡邉, 賀代, 篠澤, 早瑛子, 今泉, 知里, 押尾, 剛志, 中野, 千裕, 松瀬, 厚人, 小高, 倫生, 横内, 幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.01.2021
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.1_7

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Summary:背景.Diaminodiphenylsulfone(DDS)は天疱瘡やハンセン病の治療薬であるが,副作用として薬剤性好酸球性肺炎の報告は稀である.症例.34歳,女性.天疱瘡に対してステロイド外用薬,DDSによる治療が開始されたが,約2週後に39℃の発熱と呼吸困難が出現し受診した.胸部単純X線写真および胸部CTで両肺の多発結節影を認め,気管支鏡検査を施行したところ,気管支肺胞洗浄液中の好酸球増多と,病理像では気腔内の著明な器質化と好酸球を主体とする炎症細胞の浸潤を認めた.臨床経過や病理像から好酸球性肺炎と診断し,ステロイド内服治療で速やかに改善が得られた.DDSに対する薬剤リンパ球刺激試験が陽性であり,原因としてDDSが考えられた.結論.多発結節影という非典型的な画像所見を呈したDDSによる薬剤性好酸球性肺炎の診断に気管支鏡検査が有用であった1例を経験したので,報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.1_7