ペースメーカ留置後に,遅発性気胸で発見された右房スクリューインリード穿孔の1例

ペースメーカ植込み時の合併症として,静脈穿刺時の気胸やリード挿入時の心血管損傷などが報告されている.その中で,心穿孔の発生率は約1%程度と稀であるが,心タンポナーデや死亡に至る可能性がある重篤な合併症である.症例は70歳,女性.スクリューインリードを用いたペースメーカ植込み術後11日目の胸部CTで,右肺尖部ブラおよび右気胸を認めた.さらに,心房ペーシング閾値の上昇と心嚢液貯留を認めたため,リード穿孔による気胸も疑われた.右気胸に対する呼吸器外科手術の際,胸腔鏡下にスクリューインリード先端の右房壁貫通と,同部位に接する心膜と胸膜に直径約3mmの穿孔を認め,隣接する右肺中葉に損傷を認めた.このため...

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Published in心電図 Vol. 43; no. 3; pp. 153 - 157
Main Authors 星賀, 正明, 高山, 仁美, 鈴木, 昌代, 本橋, 宜和, 野村, 悠文, 森本, 大成, 勝間田, 敬弘, 宮村, 昌利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 31.10.2023
日本不整脈心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.43.153

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Summary:ペースメーカ植込み時の合併症として,静脈穿刺時の気胸やリード挿入時の心血管損傷などが報告されている.その中で,心穿孔の発生率は約1%程度と稀であるが,心タンポナーデや死亡に至る可能性がある重篤な合併症である.症例は70歳,女性.スクリューインリードを用いたペースメーカ植込み術後11日目の胸部CTで,右肺尖部ブラおよび右気胸を認めた.さらに,心房ペーシング閾値の上昇と心嚢液貯留を認めたため,リード穿孔による気胸も疑われた.右気胸に対する呼吸器外科手術の際,胸腔鏡下にスクリューインリード先端の右房壁貫通と,同部位に接する心膜と胸膜に直径約3mmの穿孔を認め,隣接する右肺中葉に損傷を認めた.このため,未破裂ブラ切除および損傷肺の修復とリード抜去を行った.閾値や心内波高値などの変化と,リード留置部の隣接臓器で異常を認めた場合は,リード穿孔を疑い,穿孔があれば積極的にリード抜去を検討する必要があると考える.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.43.153