頚椎後方固定術後1年以上経て小脳梗塞を発症し椎骨動脈母血管閉塞術を行った1例

椎骨動脈(vertebral artery:VA)損傷は頚椎後方固定術の合併症の1つであるが,術後遠隔期に発症することはまれである.術後1年4カ月で小脳梗塞を発症した症例を経験したので報告する.症例は64歳,男性,2020年3月他院で頚椎後方固定術が施行されていた.2021年7月,自宅で動けなくなっているところを発見され救急搬送となった.意識JCS3,左共同偏視,重度の構音障害と右顔面神経麻痺,右上下肢失調を認め,頭部CT,MRIで右小脳半球と虫部の広範囲脳梗塞がみられた.また,CT血管造影でスクリューが第2頚椎の右横突孔に迷入しているのが確認され,同部位を走行するVAを損傷している可能性が考...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 51; no. 5; pp. 423 - 428
Main Authors 岩田, 亮一, 大道, 如毅, 西川, 節, 山縣, 徹, 松崎, 丞, 生野, 弘道, 山本, 直樹, 水戸, 勇貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2023
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.51.423

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Summary:椎骨動脈(vertebral artery:VA)損傷は頚椎後方固定術の合併症の1つであるが,術後遠隔期に発症することはまれである.術後1年4カ月で小脳梗塞を発症した症例を経験したので報告する.症例は64歳,男性,2020年3月他院で頚椎後方固定術が施行されていた.2021年7月,自宅で動けなくなっているところを発見され救急搬送となった.意識JCS3,左共同偏視,重度の構音障害と右顔面神経麻痺,右上下肢失調を認め,頭部CT,MRIで右小脳半球と虫部の広範囲脳梗塞がみられた.また,CT血管造影でスクリューが第2頚椎の右横突孔に迷入しているのが確認され,同部位を走行するVAを損傷している可能性が考えられた.第4病日に脳血管造影検査でVA狭窄を認め,脳梗塞再発予防を目的としてVAの母血管閉塞術を施行した.術後経過は良好でmRS 2で自宅退院となった.頚椎後方固定術に起因するVA損傷は遠隔期にも起こり得ることに留意すべきである.脳梗塞の再発予防治療として,現時点では確立された方法はないが,母血管閉塞術は有用かつ安全であると考える.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.51.423