頻拍中に生じた心房期外収縮への相反する反応のために房室接合部頻拍との鑑別を要したslow-fast型房室結節リエントリ性頻拍の1例

症例は83歳女性.動悸時の心電図から発作性上室頻拍と診断されカテーテルアブレーション目的に当科に紹介された.心臓電気生理検査中に誘発された頻拍(頻拍周期:470msec)はslow-fast型房室結節リエントリ性頻拍(s/f AVNRT)に矛盾しない所見で,解剖学的および電位指標に基づき遅伝導路(SP)に対する高周波通電を行った.通電後,jump-upは消失し頻拍は誘発されなくなったが,イソプロテレノール(ISP)持続静注下(0.5µg/分)で心房頻回刺激を行うと,頻拍(TX)が誘発された.TXの心内波形はs/f AVNRTと酷似しているが,ISP負荷時のみに出現しており,房室接合部頻拍(JT...

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Published in心電図 Vol. 38; no. 4; pp. 277 - 285
Main Authors 藤野, 安弘, 鈴木, 晃子, 今田, 篤, 舘山, 俊太, 佐々木, 憲一, 櫛引, 基
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 21.12.2018
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.38.277

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Summary:症例は83歳女性.動悸時の心電図から発作性上室頻拍と診断されカテーテルアブレーション目的に当科に紹介された.心臓電気生理検査中に誘発された頻拍(頻拍周期:470msec)はslow-fast型房室結節リエントリ性頻拍(s/f AVNRT)に矛盾しない所見で,解剖学的および電位指標に基づき遅伝導路(SP)に対する高周波通電を行った.通電後,jump-upは消失し頻拍は誘発されなくなったが,イソプロテレノール(ISP)持続静注下(0.5µg/分)で心房頻回刺激を行うと,頻拍(TX)が誘発された.TXの心内波形はs/f AVNRTと酷似しているが,ISP負荷時のみに出現しており,房室接合部頻拍(JT)との鑑別を要した.心房期外収縮(PAC)に対するTXの反応を解析したところ,①ヒス束(H)の不応期に生じたPACにより頻拍周期は短縮した,②H不応期前に生じたPACによりTXは停止せず持続したという2点が判明した.①はs/f AVNRT,②はJTを示唆し矛盾する所見だが,②はPACに対する二重心室応答と考え,TXをs/f AVNRTと診断し,SP通電を継続した.最終的に,ISP負荷下でも頻拍は誘発不可能となった.術後3ヵ月を経過したが,再発は見られていない.(心電図,2018;38:277〜285)
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.38.277