中心静脈カテーテルの椎骨動脈誤挿入に対して外科的にカテーテルを抜去した1例
中心静脈カテーテルの椎骨動脈への誤挿入に対して外科的にカテーテルを抜去した1例を経験したので報告する.症例は70歳の男性.体幹部CTにて膵臓に膿瘍形成が疑われ,治療の一環でエコーを用いて中心静脈カテーテル留置が施行された.その際に椎骨動脈誤挿入となり,当院に緊急搬送となった.頭部MRIでは右視床梗塞と右後頭葉脳梗塞を認めた.また,造影CTで右側頚部から挿入されたカテーテルは,右鎖骨下動脈と右椎骨動脈分岐部から末梢約5mmの部位から椎骨動脈に迷入し,先端は腕頭動脈に位置していた.単純にカテーテルを抜去するだけでは,止血困難になることや血栓により脳塞栓症になる可能性,および動静脈瘻が形成される可能...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 51; no. 3; pp. 244 - 250 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2023
日本脳卒中の外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.51.244 |
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Summary: | 中心静脈カテーテルの椎骨動脈への誤挿入に対して外科的にカテーテルを抜去した1例を経験したので報告する.症例は70歳の男性.体幹部CTにて膵臓に膿瘍形成が疑われ,治療の一環でエコーを用いて中心静脈カテーテル留置が施行された.その際に椎骨動脈誤挿入となり,当院に緊急搬送となった.頭部MRIでは右視床梗塞と右後頭葉脳梗塞を認めた.また,造影CTで右側頚部から挿入されたカテーテルは,右鎖骨下動脈と右椎骨動脈分岐部から末梢約5mmの部位から椎骨動脈に迷入し,先端は腕頭動脈に位置していた.単純にカテーテルを抜去するだけでは,止血困難になることや血栓により脳塞栓症になる可能性,および動静脈瘻が形成される可能性があった.そのため,外科的に顕微鏡下にカテーテル抜去術を施行した.術後経過は良好であり,合併症はなかった.中心静脈カテーテル留置の合併症である椎骨動脈誤挿入に対しては,単純な抜去のみでは動静脈瘻などのリスクがあるため,外科的な抜去術も有効な手段の1つであると考えられた. |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.51.244 |