心電図の成り立ち:心臓電気活動を知る

心電図は心臓の電気現象を体表面電極により測定したものである.その信号が微弱なものであるので,活動によって生じた電位変化を感知する増幅器を使用する.心臓の興奮は,興奮伝導系をたどるが,その様子が心電図のPQRST波として表わされる.その測定原理は,脱分極が近づくと陽性の電位変化となり,脱分極が遠ざかると陰性の電位変化となる.加えて,再分極が遠ざかると,やはり陽性の電位変化となる.こうして,T波は通常陽性に振れることになる.その原因は心室筋の活動電位幅が,内膜側で長く,外膜側で短くなっていることである.ラットやマウスの活動電位はスパイク状であり,その心電図はヒトの心電図と異なる特徴があり,実験研究...

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Published in心電図 Vol. 43; no. 3; pp. 201 - 205
Main Authors 佐藤, 達也, 當瀬, 規嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 31.10.2023
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.43.201

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Summary:心電図は心臓の電気現象を体表面電極により測定したものである.その信号が微弱なものであるので,活動によって生じた電位変化を感知する増幅器を使用する.心臓の興奮は,興奮伝導系をたどるが,その様子が心電図のPQRST波として表わされる.その測定原理は,脱分極が近づくと陽性の電位変化となり,脱分極が遠ざかると陰性の電位変化となる.加えて,再分極が遠ざかると,やはり陽性の電位変化となる.こうして,T波は通常陽性に振れることになる.その原因は心室筋の活動電位幅が,内膜側で長く,外膜側で短くなっていることである.ラットやマウスの活動電位はスパイク状であり,その心電図はヒトの心電図と異なる特徴があり,実験研究を行う上で留意が必要である.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.43.201